[doll]⑫登坂広臣 (ページ44)

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広臣side ページ44

※

「恐怖を植え付けるやり方。相手を追い詰めて楽しんでんすよ」

岩ちゃんがそう言って、俺に向き直る。

「部屋に戻りましょう、臣さん」

「…だな」

普段と変わらない日常の中で、日常にはない緊張感を持つ俺達に誰が気づくだろうか。

そんな意味のない事を考えながら、現実でなければいいのになんて逃避をして

食堂から自室に戻った俺達。

静かに部屋に入ると、さっきと変わらない時間が流れていた。

「侵入してきてたって？」

直人さんがベッドに寝転んだまま言葉だけを向けてくる。

俺達も自分のベッドでくつろぐ素振りを見せながら、言葉だけを返していく。

「俺達がメシ食ってる最中に、あれだけの目を盗んで堂々と入ってきやがってました」

Aを起こさないように

でも怒りだけはしっかりと込めて言葉にすると、荷物であふれたベッドに寝転ぶ岩ちゃんが相変わらずの不機嫌さで話しだした。

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