[doll]⑫登坂広臣 (ページ42)

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広臣side ページ42

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シンさんと岩ちゃんが念入りに言葉を交わす。

その話を聞いてると心臓が何かに握りつぶされたように苦しくなってきた。

ストーカーの…しかも再犯となると、攻撃性を増してるし自分にかかわるすべてのリスクを度外視しているという事。

目的達成に向けての執拗さ、逆上性にエスカレートしていく感情。

狂気でしかない部分の感情がとにかく増幅しているという事だった。

「言葉なんて通じねぇぞ。見つけたら気絶させるつもりでやんねーと、こっちがやられるからな」

そう言って箸を口に運んでいたシンさんの視線が一点で止まる。

不自然なそれは、目を凝らすようにして何かを見ているから俺らも気になって。

「どうしたの？」

呼びかける○さんの声。

そこに割り込んでくるヒロさんの言葉。

「おーい、誰だ？泥のついた靴で入ってきたヤツ。ちゃんと落とせよなー」

そう言って、泥のついた足跡を指さしている…。

「まさか…」

見れば入口からまっすぐに歩いてきている足跡。

迷う事なく階段を登ってる…。

それも、さっき俺達が降りてきた時にはなかったそれが、このたった数分の間に起きた出来事で。

「堂々と侵入してきやがった」

立ち上がるシンさんが忌々し気に箸を握りつぶした。

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