[doll]⑫登坂広臣 (ページ37)

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広臣side ページ37

※

「とりあえず、昼飯食って体力温存な」

直人さんが俺達を取りまとめてくれる。

普段とても穏やかな彼のこの真剣さは、やっぱりリーダーである事をいい意味で思い知らされる。

直人さんの存在そのものがここにいてくれるというだけで

押しつぶされそうな緊張感から俺達は辛うじて踏ん張っていられるんだと思う。

穏やかで無邪気で少年でカワイイが似合う人だけど

やっぱりその背中はデ○○○。

「隆二と臣は常に別行動にしよう。腕力あるヤツが一緒にいるのは効率悪いっしょ。

　だから必ず2人は一緒にならないように、絶対どっちかがAさんについてるようにする事」

的確に飛ばされる指示。

これから俺達が分散して行動する時間があるという事に不安を生み出しているけど

最善の策と信頼できる仲間とで乗り越えるしかない。

直人さんの言葉に隣に立つ隆二と一緒に頷いて一つ呼吸を整える。

それから、俺の全信頼を預けるように隆二と抱き合った。

ライブ前、よくお互いにする行動。

ここに多くの言葉はないけれど、ツインボーカルの俺達のステージは信頼の上で成り立っている。

お互いがお互いを信頼し、お互いに自分の背中を預けるという誓いでもあり証明でもある行為で。

その時と今、

同じ気持ち。

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