[doll]⑫登坂広臣 (ページ34)

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広臣side ページ34

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思わず零れた言葉に隆二が心配して声をかけてくれるけど、何も言えない。

返事をすることができなくて

喉の奥に言葉が張り付いたように無言になってしまった。

「臣？」

直人さんにも声をかけられて、少し落ち着きを取り戻した俺は上のベッドから降りて3人に送られてきた写メを見せた。

最初は興味津々にその写メを見た3人だったけど、それを目にした途端。

全員が絶句した。

それは当然の反応だと思う。

だって。

「なにこれ…全部手形…？」

絞り出したような隆二の声に俺は頷いた。

「シンさんがAの部屋を確認しに行ったら、窓がこんなんなってたって…。

　たぶん、Aの部屋って事がわかって興奮したかなんかで…窓の外からAの姿を探して必死になったんじゃないか…って…」

「だとしても異常だろ…これ…」

直人さん言う通り、まさしく異常。

だって、4階の窓に脂ぎった人の手の痕が無数に広がっているんだから。

それはまるで、ホラー映画のワンシーンのようでもあり

獲物を狙う毒蜘蛛が、窓を這い回ったかのような不気味な光景でもあった。

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