[doll]⑫登坂広臣 (ページ20)

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広臣side ページ20

※

慌ててベッドに寝かせシンさんにラインする。

すぐに部屋に来るシンさんだけど、俺の送った文面はどうも信じてなかったらしい。

"フラッシュバックして体調不良"って事が。

「確かに熱ありそうだな」

シンさんが不思議そうに呟いた。

シンさんの呼びかけでメンバーさん達も集まって、○さんが持ってきてくれた体温計で熱を測ると39度を超えている。

「つーか、風邪だろ？フラッシュバックとか、こいつがそんな繊細な神経なわけねーじゃん」

"今まで一度もそんな事なかったし"

シンさんが言うけれど、でもさっきの状況は風邪とはとても思えなくて。

夢で魘されていた事やコウタって名前が出てきた事を伝えると、少し眉をひそめた。

「確かにあいつはコウタだけど…なんで今更思い出すわけ？

　第一、今まであいつの事思い出してこんな風にならなかったよな」

やっぱりまだこの体調不良が風邪と思ってるシンさんに、A自身もよくわかっていないようだった。

「熱以外に症状はあるの？」

シンさんよりもずいぶん優しい声色で聞く○さんに

Aは首を横に振る。

「さっきは気持ち悪かったけど、今は平気」

本人が言う通り、確かにさっきよりは顔色はいいと思う。

熱で真っ赤だけど、真っ青ではない。

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