[doll]⑩登坂広臣 (ページ45)

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広臣side ページ45

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昨日はあれほど騒めいた一日だったのに、今日はもういつもと変わらない。

まあ皆がAの事を気にしてるのはわかるけど、今俺達ができるのは極力かかわらないのが一番だってのを全員が痛い程わかってるから

今まで以上にトレーニングに集中する。

俺の中の、会いたいとか声が聞きたいとか

そう言った雑念も、数日すれば薄れてきて

一週間もする頃には自分のすべきことがちゃんと目に見えた。

Aを忘れたわけじゃねーけど、あいつに会った時にこの新曲を完成させていたかったってのもある。

インスタに来たコメントはそういう意味も込められていたと思うから。

何より、最後まで指導に入れなかったAが一番悔しいだろうから

いい意味でAの期待を裏切りたい。

俺の声でどこまでやれるか

それも知りたかった…。

「よう、お前最近気合入ってんなー」

一日のトレーニングが終わって、食堂に向かう時シンさんに話しかけられる。

隣に並ぶ彼の少し伸びた髪がなんかAとダブるから不思議。

「まあ、あいつに成長した所見せたいですから」

照れくさくもなく言い切る俺に、シンさんはケラケラ笑って。

「オーバーヒートすんなよ？Aも気にしてた」

「…連絡取ってんすか？」

思いがけずはっきりと出てきたAの名前に、少し胸が高鳴った。

やっぱり会いてぇなって…。

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