広臣side ページ38
※
「どういう事？」
全員のトレーニングが中断され、沈黙の中俺より早く反応したのはシンさんだった。
「ネットに登坂の婚約者って写真がいくつか…まさに今日撮られたようなのが」
「なんでAの写真が撮られるんだよ、んなわけねーだろ」
この場を知ってるマスコミも一般人もいねーってのに、呟くシンさんにヒロさんが申し訳なさそうに頭を下げた。
「昨日の誕生日の写メ。俺達がSNSにアップしたその画像から、ここがバレた」
「うそだろ？」
要するに、ここは合宿なんかで使われる宿泊施設で、高校や大学の部活やサークルなんかで頻繁に使用されてる施設。
俺達の写メを見た人たちの中に、ここを知ってる人間がいたという事…。
食堂の写メでわかるぐらい、利用したことがある人間がいたって事だ…。
しかもすぐにここに来て、Aを見つけて写メを撮りネットに上げたヤツがいるって事…。
「まあ、撮られたもんは仕方ねー。やっかいなのは、女の嫉妬より男の好奇心」
そう言ってシンさんは俺をまっすぐ見た。
「Aをここから離す。あいつの身の安全が最優先。男に興味を持たれて何かされるよりずっとましだろ？」
同意を求めているようだけど、これはもう決定事項っていう有無を言わせないシンさんの圧力。
でも、確かに写真を見た男に何かされるよりは全然いい。
すでに、Aの写真を見た男どもがネットで盛り上がってるから。
俺という人間を気に入らないヤツが、Aにその敵意を向けてるのがありありと分かるほどに。
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作者名：Rui
| 作成日時：2017年3月10日 22時
