[doll]⑩登坂広臣 (ページ15)

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広臣side ページ15

※

で、結局夕飯食った後もAと会話することもなく…

俺は自室のベッドの上で

白い箱を掌の中で弄ばせながら目の前の隆二と一緒に過ごしている。

「もうすぐ誕生日なのに…隆二と2人きり…」

「一緒にお祝いしよーね♡」

「しねーよ！」

全力否定する。

「俺はAと過ごしてーの！」

しかもAを怒らせた原因は隆二の変なフォローのせいでもあるわけで。

ほんっと天然って恐ろしいわ。

「あーもう、切ない」

呟きながら携帯を取り出して、一か八かAにラインでもしてみようと画面を開いた。

「まだ怒ってっかなー？」

さすがに誕生日だし、いい加減許してくれても？なんて期待を込めて。

"部屋、行っていい？"そうラインを送ってみる。

すぐに既読が付いて、珍しく光の速さで返ってきた返事は

"だめ"

その一言。

「…落ちるわ…」

もう誕生日、隆二に祝ってもらおう、涙ながらにそう心で覚悟していると、もう一度ラインの音がする。

"私がそっちに行く"

「は？マジで？」

「え？なになに？」

急に起き上がる俺に、驚く隆二。

携帯の画面を見せると、そのまま飛び起きて部屋の片づけを始めた。

でたよ

おかあさん隆二降臨。

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