[doll]⑥登坂広臣 (ページ32)

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広臣side ページ32

※

「帰ってきたなー、夜になるって聞いてたのに早かったじゃん」

ニヤニヤとシンさんが言う。

その姿に、この人は知ってて俺をからかったんだと理解した。

「怒んなって」

ちょっとだけ睨むふりをすると、おどけたように笑うシンさんだけど。

やっぱり反省はしてないみたいで。

「誰かさんに会いたくて仕事早めに切り上げてきたんじゃねーの？」

ケラケラ笑って飯の途中でAを迎えに外に出て行った。

Aが帰ってきた事にソワソワと落ち着きのない俺を隆二がからかうから

睨みの一つでもきかせてやりてーのに、視線は食堂の入り口ばかりを見ちまう。

俺って結構Aに盲目的かも。

「お疲れ様でーす」

そう言って帰ってきたAは相変わらず可愛くて。

この前写メで見たのと同じように黒のスーツを着こなして、髪をハーフアップにしてて超新鮮。

タイトスカートがマジえろくて。

そりゃもう皆の視線を独り占めって感じに。

「あー…やべぇ、ああいうのって脱がせたいって感じするよね！」

隆二の本音が皆を代表して炸裂するから、俺のイライラが一気に湧いて出た。

当の本人は柔らかい髪をふわふわ揺らしながら"お腹空いた"と花ちゃんと話している。

警戒心はゼロ。

この子が帰ってきた途端

俺の心は忙しく動き出した。

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