[doll]⑥登坂広臣 (ページ20)

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広臣side ページ20

※

宿舎に戻り、自室の扉を開けると。

花ちゃんが左腕で隆二の腰を抱き寄せて

右手で口を塞いでいる所だった。

「…すいません、ほんとすいません」

このタイミングで帰ってきて本当すみません。

何も見ていなかったというようにドアを閉めようとして、花ちゃんに否定される。

「いやん♡勘違いしないで、今市ちゃんが大きな声を出すから抑えてたただけヨ♡」

いや、大きな声出そうとしたのを抑えたってアンタ…もう間違いないじゃん。

この2人の関係を邪魔するつもりは毛頭ないので退室しようと踵を返すと、隆二が全否定(笑)

「違うから！花ちゃんがAさんとシンさんのお兄さんって聞いてびっくりしただけだから！」

「あー、それ俺が言いたかったのにー」

まあ本気でこの2人がどうこうってのは考えてなかったけど、もう暴露しちゃったのかぁと少し残念。

「シンは？」

「部屋に戻りました」

それを聞いて、花ちゃんも自室に戻っていく。

布団の中で子供みてぇに眠るAの頭を撫でてから。

「おやすみ、A」

そう言った花ちゃんの声は、いつものイッコーさん口調じゃなくて

男の人の声だった。

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