【氷と炎】⑰数原龍友 (ページ29)

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揃って車を降りる。

運転しとったAはその場で大きく伸びをした。

伸びてても小さくて可愛ええな、この人。

車挟んで僕が和んでることなんて知らないAはソッコーで周りに気づかれとるのに”早く行こー”なんて、全然視線に気づかんと僕を呼んだ。

……これは、また新しい不安が出来たわ。

この人、自分が世界的に有名やって自覚がない上、めちゃめちゃ鈍感や。

てゆーか、常にこういう視線を向けられとるから慣れてもうたんかも。

やから、普段メンバーさんに守って貰ってんのやなって瞬時に理解。

危なっかしい……。

今のところ急に取り囲まれたり詰め寄られたりは無いけど、騒ぎ出す人達に連動するみたいに他の人達の視線もこっちに集め始めた。

｢A｣

名前を呼んで右手を差し出す。

おいでって言うみたいにしたそこに、すぐに小さな手がやってくる。

｢ちょっと騒がしくなってきたから、離れんとき｣

手を繋いで歩くやなんて、もうまさにやんか。

芸能人ならこういう時、”撮らんといて”やろうけど

僕はちゃうで。

｢今やで！シャッターチャンス！｣

｢ん？｣

急に叫ぶ僕に意味が分からんって顔するAと一緒に、Aお目当てのご当地グルメを探した。

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