【氷と炎】⑰数原龍友 (ページ22)

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｢ごめん、電話や｣

｢ん｣

ちょっと眠そうな返事を聞いて、1人でリビングに戻る。

置きっぱなしになってたスマホの画面に、かかってくることがないと思ってたあの男の事務所の社長の名前が表示されとって、一瞬にして嫌な気分。

なんやろ。僕に電話って。

しかもこの時間に。

まだ日付は変わってへんけど、こんな時間に掛けてくるなんてよっぽど……。

出たくないわ……なんて思うけど無視するのもこちらに分が悪い気がして、覚悟を決めて電話に出た。

向こうの口調は落ち着いてて、慌てとる様子もないし取り乱しとる感じもない。

けど。

｢明後日記者会見を行います。

それが終わり次第彼は解雇の形となり、親御さんが身元引受け人となります｣

それは当初から分かってたことで、敢えて知らせてくれたんかな？と。

僕の前にRAVEさんの事務所とヒロさんの方にも連絡をしたということで、了承の返事を返した。

けど、伝えたい事がそれだけじゃないような気がして、”他になにかあるんですか？”ってこっちから話をもちかけた。

｢彼の比較的落ち着いている状況と、ままならなかった会話が成り立つようになり

親御さんは退院を求めているようです｣

｢……え？｣

ってことは、あいつ、外に出てくるわけ？

それも、事務所っていう僕らからしたら防波堤になるもんが何も無い状態で。

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