【氷と炎】⑰数原龍友 (ページ14)

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｢それじゃあ、お疲れ様です｣

先に涼太が降りて、少しだけ広くなった後部座席やけど、僕が少し左に移動するとAもくっついてくる。

｢なに？甘えたい感じなん？｣

分かってるけど、いちいち言葉で聞きたい。

てかなんか今日はいつもより甘えたい度が高いな、なんかあったんかな。

繋いだままの手も全然離れる様子はないし、どしたんやろ。

酔ってんのかな？

左手でカバンの中を探る。

現場から持って帰ってきたお茶のペットボトルを取り出して器用に蓋を開けた。

｢飲む？｣

聞いてみたけど首を横に振る。

なんとなくやけど、何かあったのは間違いないなって感じ。

Aの変わりに僕が1口お茶を飲んでると、”ねぇ龍友”ってAが話し出した。

前まではこうやって話出すまでにかなりの時間を必要としたから、こんなに早く聞かせてくれるなんてちょっと面食らう。

頭打ってから別人に入れ替わってんのちゃうやろな？って疑いたくなるぐらい。

｢どしたん？なんかあった？｣

｢あのね？

いつも私ばっかり気持ちよくなっちゃうでしょ？｣

｢……｣

急に何の話かと思えば、どーしたんや、今日のAチャンは。

酒が回ってんのか？そうやな！？

動揺を誤魔化すのにもう一口お茶を飲むと、Aがぶっ込んでくる。

｢飽きて捨てたりしないでね？

私もちゃんと、オクチでするから……｣

ブッフォォッつって、お茶と一緒に内蔵飛び出したかと思ったわ。

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