幻みたいな君は友達 (ページ35)

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そう小さな声で、でも強く告げた長尾くんの瞳はいつもより茶色が深く見えた。

水分をたくさん蓄えた両目が、私を捉えて離さない。

星屑みたいに私の体中のいろんなところに散らばっていた長尾くんへの「好き」が、熱い塊になって喉元まで迫り上がってくる。

もう「好き」って言うの、我慢しなくてもええ？
好きって思った時に、正直に伝えてもええの？

もしそうなら、私は今すぐ
今ここで、「好き」って長尾くんに——

「……私、長尾くんのこと——」

そこまで言いかけて、一番大切な言葉に辿り着く直前に、ぐらりと視界が揺れた。

そして、体温の高い長尾くんの腕と胸の温もりに包まれていることに気が付いた。

長尾「好き、好きやで。何回言うても足りへんぐらい好き」

長尾くんに腕を引かれて、閉じ込められた胸の中で身体を縮こめる私と
そんな私の耳元に注がれる熱い言葉。

切羽詰まったようにも、泣いているようにも聞こえるその声が、私は好きだと思った。

そんな言葉を大事に耳の中に閉じ込めておきたかったのに、

その言葉も空気も劈くような轟音、
金属と金属がぶつかり合う事故みたいな音が頭上で鳴った。

「——え、」

思わず声が漏れて、音の鳴る方を見上げようとしたけれど、それは長尾くんの腕に阻まれる。