幻みたいな君は友達 (ページ27)

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教室に入ると、その中を仕切るパーテーションに何枚もの写真が貼ってあった。

桜が舞う春の校舎の写真、
暑さが滲んで見える体育祭の写真、
紅葉が映える秋の校庭の写真、
初雪で真っ白く染まった通学路の写真。

そんな見慣れた景色を切り取った写真がいくつもあって、そのひとつひとつに思わず目を引かれる。

そんな私を長尾くんは、ゆっくり待ってくれた。

何枚かの写真を眺めたところで、
何よりも見慣れた景色が目についた。

「………去年の、文化祭の写真？」

写真の中には、飾り付けられた校門と
ギュッと集まった去年の文化祭実行委員が写っていた。

もちろんその中には私もいて、私の隣には小島がいる。

長尾「はい。俺が撮った写真やないけど、これは絶対文化祭で展示したくて、お願いして貼ってもらったんです」

そう言う長尾くんは見たことがないくらい真剣な表情をしていて、思わず息が詰まった。

写真部じゃない長尾くんが、どうしても誰かに見てほしくて写真部に直談判したのがこの写真だなんて、胸が熱くなるに決まってる。

長尾「俺、去年うちの高校の文化祭に来て、俺もここの一員になりたいって思ったんです、けど、
あの、ほんまに楽しかった文化祭を作った人がこんなに楽しそうな顔で笑ってるのを写真で見て、めちゃくちゃ嬉しかったんです。
ここに来れてよかったって、ほんまに思った」