幻みたいな君は友達 (ページ3)

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私の一歩前を歩く小島はたぶん私が小島を盾にしてることに気付いていて、時折こっちを振り向いては、いつも呆れたように小さく笑う。

小島「今年も文化祭実行委員やんねやろ？俺と一緒に」

「えー？別に今年はええって」

小島「なんでやねん！去年、『来年もやろかな〜』って言うてたやん」

「そうやったっけ」

小島「せやで！俺、Aが言うたことは一言一句覚えてんねんから」

「キモいなぁ」

小島「キモいって言うな！」

小島はいつもこんな調子で、口数の多い私の盾になってる。
盾になってくれてる分、私もこのお喋りに付き合ってやらなあかんなって気持ちはあって、時々面倒臭くなるけど、でも退屈じゃないから、私も懲りずに小島とつるんでる。

共生関係、みたいなものかもしれない。
一緒にいることでお互い何かを犠牲にしながら得をする関係。

私は、たまにだるい小島の話に付き合って時間を無駄にする代わりに、人混みを歩きやすくなる。

小島は、私に文句を言われる代わりに——
代わりに、小島は何を得してるんやろう。

考え出すと分からなくなる。

小島「ええから、Aは今年も文化祭委員やんねん。で、俺もやる」

「はいはい、分かった分かった」

私がそう答えると小島は小さく笑って、また前を向いて歩き出した。