幻みたいな君は友達 (ページ17)

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長尾side

長尾「……やから、寂しいなんて
言わんといてください」

不意に口をついた言葉に、自分で驚いた。

A先輩も驚いた顔をしていた。

「あ…うん、寂しくは…ないかな！うん、ごめん、長尾くんがいてくれるのにそんなこと言って」

長尾「違います、ちゃいます、そうじゃなくて」

A先輩が、俺の知らん話をするから。

去年のこととか、クラスのこととか
A先輩が俺の知らんA先輩の話をすると、なんでか胃のあたりがモヤモヤする。

なんでこんな気持ちになるのか、俺はたぶん
ほんまは分かってるんやけど、どうしてか言葉に出来へん。

長尾「……そうじゃ、ないんです」

傘を差したまま、小さくそう呟くと
A先輩は少し困ったように眉を顰めて微笑んだ。

長い間、ほんまに長い間
A先輩のことを見てきたけど、その表情は初めて見たかもしれん、なんてことを俺は思った。

長い間、ほんまに長い間
俺はA先輩を見てきてんで。

A先輩は、気付いてへんかもしれんけど。