幻みたいな君は友達 (ページ11)

今日:2 hit、昨日:6 hit、合計:15,213 hit

11 ページ11

＊＊＊

小島と校門まで降りると、既に長尾くんは二人分の誘導棒を持って待っていた。

もちろん他の委員の面々もいたけど、その中から長尾くんを一番に見つけられるのは、
やっぱりそういうことなんやと思う。

長尾くんもすぐに私を見つけて、子犬みたいに駆け寄ってきた。

長尾「A先輩！」

小島は、気付かない間にいなくなっていた。
さっさと自分の持ち場に向かってもうた小島に、なんとなく薄情さを感じるけど、その気持ちを簡単に超えてしまうぐらい、駆け寄ってくる長尾くんが可愛くて胸がいっぱいになる。

長尾「今日は、ちょっと遅かったっすね」

「ごめん、待たせて」

長尾「いやいや！そういうことやなくて、なんかあったんかなって思っただけで」

「あ、うん。あの、小島と喋ってただけやから…ごめん、遅くなって」

そう言うと、長尾くんは「ごめんって言わんといてくださいよ〜」と眉根を寄せて笑った。

そうして、昨日と同じルートを昨日と同じように2人並んで歩き出す。

長尾「今日ね、授業で——」

初日に比べて長尾くんは、とても親しげに話してくれるようになった。

今日あったいろんなことを楽しそうに話すその横顔が好きだって、思わず口をついて出てきてしまいそうになる。

もし、長尾くんの恋人になれたら
頑張って堪えてるこの気持ちも、思いついたときにすぐ言えるようになるんかな。

私が長尾くんに好きだと言ったら、長尾くんも好きって返してくれるんかな。

もし、長尾くんの恋人になれたら。

長尾「でね、それで——」

時折私の歩幅に合わせて、歩く速度を緩めてくれるところが好き。
風が吹くとふわふわ揺れる前髪が好き。
笑ったときにくしゃっとなる目尻が好き。

知らない間に、私はこんなにも長尾くんのことを好きになってる。

そんな浮ついたことを考えていたら、長尾くんが話すのをやめて私の顔を覗き込んできた。