初心な僕らは恋を知らない (ページ10)

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大西「一番は、Aさん自身が謙杜みたく、謙杜と同じぐらいに好きって気持ちを恥ずかしくて表に出されへんから、申し訳なく思うって。ずっと言ってた」

西畑「ずっと？」

大西「うん、ほんまにずっと。いつか、申し訳なくなりすぎて耐えられんようになったらどうしようって」

西畑「それは………めちゃくちゃ惚気ちゃうん？」

大西「せやねん。俺もめちゃくちゃ惚気やと思っててんけどな？でも、そんな気持ちずっと持ったまま1年も付き合ってたら、やっぱりしんどなってもうたんかなって思ったんよ」

「でも」と俺は続ける。

好き同士やのに、恋人になられへんのも
謙杜が「俺ばっかり好きやった」って勘違いしてんのも、俺は悲しいから。

大西「でも、Aさんな、謙杜のことほんまに好きやって言うてたんよ。申し訳ないからって離れてまうのは悲しいやん。
好きになれへんくてごめんって嘘ついてまで、謙杜に申し訳なく思ってるのはさ、それは、ほんまは今でも好きってことやろ？」

俺がそう言うと、大ちゃんは少し考え込んでから、小さく頷いた。

西畑「そやなぁ、悲しいことやね」

それから大ちゃんは柔らかく笑って、真剣な顔をする俺の頬を人差し指でツンと突いた。

西畑「謙杜に内緒でさ、俺らでちょっと動いてみてもええかもな？」