初心な僕らは恋を知らない (ページ11)

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そんなことが起こっているとはつゆ知らず、
私の方は私の方で、想定外の事件が起こっていた。

「——えっ、健ちゃん！？」

小島「えー！Aやん！えっ、マジか！めっちゃ久しぶりちゃう？」

「久しぶりも何も、小学生ぶりだよ！え〜ビックリした〜！」

取材相手は、Aぇ! groupの小島健くん。

実は小4のときに東京に越してきた私は、それまで大阪に住んでいた。

そして、同じ小学校の一つ下の学年に「小島健」という子がいて、家が近かったから一緒に登下校したりしてたけど、
まさかその「小島健」が、Aぇ! groupの「小島健」だとは、今の今まで思ってなかったわけで。

こうして、衝撃の再会を果たしていた。

小島「え〜ほんまにビックリしたぁ、俺の名前で分からんかった？」

「小島も健もいっぱいいるでしょ、同姓同名の別人だと思うって。小学生の頃、健ちゃん身長低かったし」

小島「まぁな〜、めちゃくちゃ背え伸びたやろ」

「伸びすぎて気付かなかった」

小島「背も伸びたしかっこよくなってるしな？」

「ほんとだよ、かっこよくなっちゃって」

私がそう言うと、健ちゃんは誇らしげににんまりと笑った。

その顔は、テストで良い点を取ってご機嫌だった小学生の健ちゃんと変わらなくて、なんだか安心する。

小島「また会えて嬉しいなぁ〜、ほら」

「うん？」

小島「ほーら、手え出して」

よく分からないまま右手を健ちゃんの方に差し出すと、その手は健ちゃんの右手にギュッと握られた。

小島「握手、再会の証」

「なにそれ」

小島「記念やよ記念」

健ちゃんの言葉に思わず吹き出して笑うと、健ちゃんも照れ臭そうに笑った。

私の手を握る手が、あの頃の何倍も逞しくて
でも、変わらずお茶目な健ちゃんで、私は嬉しかった。

この衝撃の再会をキッカケに、
私の—— “私たち” の物語が大きく動き出すことを、この頃の私はまだ知らない。