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長尾side
急ぐって言うたのに、結局何やら色々やらなあかんことがたくさんあって、会場を出たのは夜の10時半を過ぎた頃やった。
乗り換え案内のアプリにAんちの最寄りの駅をぶち込んで、検索。
表示されたのは、まさかの終電。
俺は携帯をポケットに突っ込んで、デカいリュックを背負ったまま走り出す。
街に、コンサートのお客さんっぽい人はもう残ってなくて、
でも、そんなことに気付く余裕はなかった。
Aに何時に着くでって連絡した方がええかな。
でも、それで電車に乗り遅れたら元も子もないし。
ていうか、こんな遅くなってもうたんやから、もう待ってへんかもしれん。
家の最寄り駅とはいえ、こんな深夜に女の子を一人で待たせとるって、めちゃくちゃダメ男なんちゃう？
あぁ、もう。Aのことになると、俺はいつも格好悪くなる。
信号待ちで、交差点の四隅が全部イルミネーションで飾られてるのに気が付いた。
街路樹も建物も、道行く人も全部キラキラ輝いてる。
俺もさっきまでキラキラしててんけどな。
今は、キャップの中は汗で蒸れて、ジャケットの裾を捲って、息を切らしてる。
格好悪くて、ダサくて、でも今の俺はこれなんやからしゃーないって、大きく息を吸い直した。
信号が青に変わった瞬間、また走り出す。
キラキラしたステージを視界に映してたAも、俺にはキラキラしてるように見えてんで。
Aの目には、俺がどう見えてた？
Aに見えてる部分ぐらいは、格好良い俺でありたい。
それ以外は、ダサくて格好悪い俺やけど、
終わりが決まってる恋なんやったら、最後までダサくない俺でいたい。
いつも、いつもそんなふうに思ってるけど
Aはたぶん「長尾はカッコイイより可愛いやな」とか平気で言うんやろうな。
悔しいけど、
でも俺は、Aのことが好きやよ。
ちょっと疲れとるのと、Aへの気持ちが弾けそうで、なんだかブーストがかかってる俺の足取りは、駅が近づけば近づくほど軽くなる。
恋愛ドラマのこういうシーンが、なんでキラキラしとるのか、俺には分からんかったけど、でも今ならなんとなく分かる。
たぶん、好きな人に会いたい気持ちって、星屑みたいにキラキラしとる。
そんな思いで乗り込んだのは
終電の、一つ前の電車だった。
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ももか(プロフ) - 丁寧な言葉選びですっごく好きな作品でした！作者様の描く長尾が最高に好きでした。また素敵な作品楽しみにしてます！更新お疲れ様でした！！ (2022年7月19日 0時) (
レス) @page47 id: c5caa37a1a (このIDを非表示/違反報告)
。 - 星屑に触れたなら 本当にいい作品です。いつも更新ありがとうございました。 (2022年7月18日 17時) (レス) @page47 id: 5aa31afc0d (このIDを非表示/違反報告)
mちゃ(プロフ) - 神作 (2022年7月18日 15時) (レス) id: e046c287bb (このIDを非表示/違反報告)
yukie aaa(プロフ) - 言葉がキレイで、、読んでいて本当に引き込まれます！！ (2022年7月16日 17時) (レス) @page44 id: 5c463d3147 (このIDを非表示/違反報告)
縮人(プロフ) - わ〜丈くん(泣)かっこよすぎて泣けます(泣) (2022年7月13日 0時) (レス) @page39 id: 3fa571b52c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨野 | 作成日時：2022年6月9日 19時
