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長尾side
Aはなんとか平静を装った顔をしとるけど、明らかに目が腫れてるし鼻も啜ってるし、
久しぶりに泣いてるA見たけどやっぱ可愛いなぁ、とかそんなことを思った。
口に出したら怒られそうだから、胸の中に留めておくけど。
長尾「顔、洗ってきてもええよ…？」
「…………………ぬん」
ぬんってなんやねん。
Aはぶすくれた顔で頷いてから「どっか座ってて」と告げて洗面所の方へ向かった。
低いテーブルとベッドとテレビ、それと棚がいくつか。
それだけの部屋は、香水なんて付けてないAの匂いで満たされていた。
勢いよく水が流れる音も聴こえてくる。
Aが生活してる空間に俺がいるってことに、どうしてか感情が揺れた。
出会ってから随分時間は経つけど、俺はAについて知らないことばかりやから。
「……戻りましたぁ」
長尾「おぉ、うん」
「座ってへんやん」
長尾「…なんか、どこ座ってええか分からんくて」
俺がそう呟くと、Aはカーペットにぺたりと座って、その隣をトントン叩いた。
それに甘えて俺も座る。
顔を洗ってスッキリしたのか、Aは「ふぅ」とひとつ小さく息をついた。
「——聞いてたで、丈くんの話」
Aの凛とした声が宙に浮かぶ。
隣に座ったから視線は合わなくて、俺は床の上でギュッと握られたAの左手を見ていた。
「聞いたらあかんかったんやろうなぁって思う」
長尾「……あかんことはないやろ、」
「あかんかったって。聞かん方が、ずっと良かった」
Aの声が、最後の「た」あたりで少し震えた。
俺はそんなAにどんな言葉をかけたらいいか分からずに、ただずっとAの左手を見てる。
「『そっかありがとう、私も丈くんのこと好きやったで』って、言えたらええんやけど、分からんねん。どうやって、言うたらええか、今の……自分の気持ちも分からんくなってもうた、かもしれん」
俺は、俺の好きな人に、好きな人と幸せになってほしいと思う。
それが一番幸せやと思うから。
俺の好きな人が、好きな人に好きやと言えたらええなって、俺は思う。
思ってるはずやのに、どうしてこんなに上手くいかへんねん。
長尾「——Aは今も、丈くんのことが好き？」
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ももか(プロフ) - 丁寧な言葉選びですっごく好きな作品でした！作者様の描く長尾が最高に好きでした。また素敵な作品楽しみにしてます！更新お疲れ様でした！！ (2022年7月19日 0時) (
レス) @page47 id: c5caa37a1a (このIDを非表示/違反報告)
。 - 星屑に触れたなら 本当にいい作品です。いつも更新ありがとうございました。 (2022年7月18日 17時) (レス) @page47 id: 5aa31afc0d (このIDを非表示/違反報告)
mちゃ(プロフ) - 神作 (2022年7月18日 15時) (レス) id: e046c287bb (このIDを非表示/違反報告)
yukie aaa(プロフ) - 言葉がキレイで、、読んでいて本当に引き込まれます！！ (2022年7月16日 17時) (レス) @page44 id: 5c463d3147 (このIDを非表示/違反報告)
縮人(プロフ) - わ〜丈くん(泣)かっこよすぎて泣けます(泣) (2022年7月13日 0時) (レス) @page39 id: 3fa571b52c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨野 | 作成日時：2022年6月9日 19時
