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(えっ、キスしてる？)
と気付いたときには、無駄に器用な長尾(の舌！)に唇をこじ開けられていて、ほんまに
なんやよう分からんまま、両足の力が抜けていく。
押し返して突き飛ばす考えも浮かばないまま、戸惑いながら薄目を開けると、同じように薄目を開けた長尾と目が合った。
——なに、なんやのこれ。
急に私の目の前に現れて、それからこんな
長尾「……っ、Aさ、隙だらけやねんけど」
「……や、あの……えっ、え？」
長尾「隙だらけって言うてんの、それともわざとやってる？」
鼻と鼻が触れそうなくらい近くに長尾の顔がある。
さっきよりも長尾の唇が艶やかで綺麗なのは、キスをしたからやって、変なことに気が付いて、余計に頭が回らへん。
ただ、肩に手を置かれてるだけやのに、なんでか一歩も動けないのは、長尾に見惚れてるからか、それとも——
長尾「約束、破ってもうたな」
「……約束？」
長尾「卒業まで、屋上でだけ恋人ってやつ。Aは、付き合ってない人とキスするようなヤツちゃうやろ？」
長尾は囁くようにそう言って、コツンとおでこをぶつけてきた。
付き合ってない人とキスはせえへんけど、せえへんっていうか、したことないけど……長尾とも付き合ってない、付き合ってた……？えっ、約束って、そういう意味？
「いや、いやいやいや！長尾と私は付き合ってへんやん！」
長尾「付き合ってたやろ？ でも、別れてへん」
「いや、意味がわからん」
長尾「別にええよ、今は。これから分からせるし」
「もっとわからん！！」
そう言ってからようやっと長尾の肩を押して距離を取ると、長尾はあっけらかんとした顔で笑っていた。
それはほんまに、あの頃とおんなじ表情やったから余計に混乱する。
分からせる、って何？
私は何を分からされるん？
長尾「Aも東京におったんやったら、言うてくれたらよかったのに」
「教える理由がない」
長尾「まぁ、でもこうやって会えたしな〜？ 運命ってやつちゃうん？」
「ほんまに凄い偶然やね」
長尾「運命！」
「偶然！！」
小競り合いみたいな、こんなやり取り。
不服やけど、やっぱり長尾と話すのは楽しいって思ってしまう。
楽しいし、長尾にまた会えて嬉しいでってことは、長尾には伝わってへんかったらええなって思う。
それやのに、長尾はまたふっくら笑って私の横髪を耳にかけた。
長尾「Aに会えたんやったら、そんなんどっちでもええかな」
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ももか(プロフ) - 丁寧な言葉選びですっごく好きな作品でした！作者様の描く長尾が最高に好きでした。また素敵な作品楽しみにしてます！更新お疲れ様でした！！ (2022年7月19日 0時) (
レス) @page47 id: c5caa37a1a (このIDを非表示/違反報告)
。 - 星屑に触れたなら 本当にいい作品です。いつも更新ありがとうございました。 (2022年7月18日 17時) (レス) @page47 id: 5aa31afc0d (このIDを非表示/違反報告)
mちゃ(プロフ) - 神作 (2022年7月18日 15時) (レス) id: e046c287bb (このIDを非表示/違反報告)
yukie aaa(プロフ) - 言葉がキレイで、、読んでいて本当に引き込まれます！！ (2022年7月16日 17時) (レス) @page44 id: 5c463d3147 (このIDを非表示/違反報告)
縮人(プロフ) - わ〜丈くん(泣)かっこよすぎて泣けます(泣) (2022年7月13日 0時) (レス) @page39 id: 3fa571b52c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨野 | 作成日時：2022年6月9日 19時
