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＊＊＊
「——うわっ、」
長尾「うわってなんやねん、もう」
従業員口からこっそり帰ろうと思ったのに、ドアを開いたすぐそこに長尾はしゃがんでいた。
ここ、裏口やで？
どうやって見つけられんねん。
「……おると、おもわんかったから」
長尾「どうせこっちから出てくるんやろな〜って思った」
長尾は一つため息をついてから立ち上がる。
身長はあんまり変わらんはずやのに、肩幅とか雰囲気とか、そういう部分があの頃よりなんとなく男らしくなってる気がして、思わず長尾から視線を逸らした。
そして、長尾は私のそういうところを目敏く見つける奴やったってことを、嫌でも思い出させてくる。
誰もいない、本当に誰もいない夜の通用口。
不意に掴まれた肩が、掴まれたところから熱くなる。
長尾「——逃がさへんって、言うたやろ」
「…言うた、けど……」
長尾「その意味、分かってる？」
薄暗い空間で、長尾が私の顔を覗き込む。
マスクをずらして見えた口許は、綺麗な弧の字を描いていた。
煙たがるフリをしたいのに、その妙な妖艶さに目を奪われる。
そんな、そんな顔する奴ちゃうかったやん。
大人っぽくて男っぽい、長尾のそんな部分を覗き見してしまったような気持ちになって、息が詰まる。
ふっくらした下唇が、心許ない蛍光灯に照らされて綺麗に映った。
たぶん、そんなことにいちいち目を奪われてる私に、目敏い長尾は気付いてる。
長尾「………Aは変わらんなぁ、そういうとこ」
そう言って長尾は、小さく息をついて笑う。
その言葉と言い方に少しムッとした私は、「どういう意味や」って言いたくて顔を上げた。
顔を上げた、その瞬間——
唇と唇がぶつかった。
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ももか(プロフ) - 丁寧な言葉選びですっごく好きな作品でした！作者様の描く長尾が最高に好きでした。また素敵な作品楽しみにしてます！更新お疲れ様でした！！ (2022年7月19日 0時) (
レス) @page47 id: c5caa37a1a (このIDを非表示/違反報告)
。 - 星屑に触れたなら 本当にいい作品です。いつも更新ありがとうございました。 (2022年7月18日 17時) (レス) @page47 id: 5aa31afc0d (このIDを非表示/違反報告)
mちゃ(プロフ) - 神作 (2022年7月18日 15時) (レス) id: e046c287bb (このIDを非表示/違反報告)
yukie aaa(プロフ) - 言葉がキレイで、、読んでいて本当に引き込まれます！！ (2022年7月16日 17時) (レス) @page44 id: 5c463d3147 (このIDを非表示/違反報告)
縮人(プロフ) - わ〜丈くん(泣)かっこよすぎて泣けます(泣) (2022年7月13日 0時) (レス) @page39 id: 3fa571b52c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨野 | 作成日時：2022年6月9日 19時
