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長尾side
Aが “恋人ごっこ” と言い出したとき、トチ狂ったことを言い出したな、と思っていたけど、始まってみると普通に楽しんでもうてる自分がいた。
もし、そうなれたら嬉しいけど、嬉しい以上にAに苦労をかけてまうって思ってたから、そうなりたくないって俺の気持ちは、賢いAのおかげで半分成就してもうた形になり、俺はビックリしたけど、でも嬉しい。
毎日こうやって屋上で、Aが来るのを待つ時間が、俺は凄く嬉しい。
でもまぁ、今日は来ないような気がしとる。
だって、まぁ……そりゃそうやろ。
長尾「雨、止まへんかなぁ」
傘を打つ雨は、毎秒どんどん激しくなっていくし、風も強いし。
こんな日やのに、律儀に屋上に来とる俺は偉いなぁって自分でもそう思う。
ハチ公ばりの忠義は、もしかすると愛ってことなのかもしれん。
屋上に来てから10分が経ち、アホやなぁと思いながらも、もしかしたらAが来るかもしれへんなんて考えて、教室に戻るのが躊躇われてまう。
だってなぁ、俺しか見られへんAのあの顔が、俺は一番好きやから——
「————長尾？」
豪雨って言うても差し支えない雨の中、おずおずと古びたドアが開いて、その隙間からAが顔を覗かせる。
「えっ、なんでおるん？」
長尾「昼休み、やろ？」
「いや、雨！雨やん！」
いつもそうや。
Aが、恐る恐るドアを開けてから俺を見つけて、驚いた表情をする直前に、一瞬だけ見せる顔。
長尾「会いたかってんもん。それに、Aも来とるやん」
「私かて、まさかおらんよなって思ってた！」
俺を見つけて、嬉しそうに一瞬微笑むその顔が見たくて、俺は毎日Aに会いに来てしまうんよ。
そんな恥ずかしいこと言われへんけど。
伝わってたらええなって思う。
長尾「傘持ってきたん？」
「持ってきてへんよ。おらんと思ってたし」
長尾「じゃあ、ほら。こっちおいで？」
自分で差してる傘を少し傾けて、Aを見遣る。
Aは「正気か？」って目で俺を見てきたけど、そんなん気付かへんフリをしてAに微笑みかけた。
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mちゃ(プロフ) - 切ないー！2人にサチアレ (2022年6月2日 16時) (
レス) id: e046c287bb (このIDを非表示/違反報告)
雨野(プロフ) - るんさん» コメントありがとうございます！まだまだ始まったばかりですが、お付き合いいただけたら嬉しいです◎ (2022年5月15日 22時) (レス) id: 71b7fa2e9d (このIDを非表示/違反報告)
るん(プロフ) - お話の流れも雰囲気も凄い好きです！応援してます！ (2022年5月15日 1時) (レス) @page13 id: 09d5484fe2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨野 | 作成日時：2022年5月10日 21時
