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(どういうつもりであんなこと言うたん…？)
と、こっちは言葉にならない問いで頭がいっぱいやのに。
昨日あんなことがあったのが嘘みたいに、長尾はいつも通りやった。
新学期1回目の美術の授業は、「隣にいる人の似顔絵を描く」。
昨日あんなことがあったから、私はなるべく美術室の端っこに陣取って、長尾に見つからんように息を潜めとったのに、長尾は美術室に入るなり私を見つけて駆け足で私の隣に座った。
隣に座ってから「隣、ええ？」って聞いてくんの、やめてほしいねんけどって、言えない私も悪いけど。
そんで結局、私は長尾の似顔絵を、
長尾は私の似顔絵を描いとるっていう、この不可思議な状況に至る。
“答えてほしいなんて言わへんから
——俺は、じぇしのことが好きやで”
私の脳内では、昨日長尾が言った言葉が頭痛みたいにガンガン響いてるのに、長尾はあんなことがあったなんて嘘みたいに普通の顔でスケッチブックに向き合ってる。
(もしかして、昨日のアレは私の夢やった…？)
って思い始めてる私は、悔しさを孕んだ視線で長尾を見つめた。
こんな綺麗な顔をどうやって私の絵心で再現したらええねん、と段々腹立たしくなってくる。
「…………ながおー」
長尾「………………」
「……長尾、」
長尾「………………」
「なぁて、長尾」
長尾「授業中に喋ったらあかんねんで」
「誰が言うてんの。一学期散々話しかけよって、ほんまにちょっと内申下がってんねんけど」
長尾「………じゃあ喋らん方がええんちゃうん」
目も合わさず、いつまでも無愛想に答える長尾。
ほんまに、誰のせいでこんなことになってると思ってんの？
掻き回すだけ掻き回して、急にそんな態度取って。
「——なぁ、目ぐらい合わせてくれてもええんちゃうの」
もうすっかり私は長尾の態度に腹を立てていたから、壁にになってるスケッチブックを乱暴に倒した。
長尾が「あっ」て声を上げて、スケッチブックを隠そうとするけど、それより早く私にはその中身が見えてしまった。
真っ白の、何にも描かれてないそのページが。
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mちゃ(プロフ) - 切ないー！2人にサチアレ (2022年6月2日 16時) (
レス) id: e046c287bb (このIDを非表示/違反報告)
雨野(プロフ) - るんさん» コメントありがとうございます！まだまだ始まったばかりですが、お付き合いいただけたら嬉しいです◎ (2022年5月15日 22時) (レス) id: 71b7fa2e9d (このIDを非表示/違反報告)
るん(プロフ) - お話の流れも雰囲気も凄い好きです！応援してます！ (2022年5月15日 1時) (レス) @page13 id: 09d5484fe2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨野 | 作成日時：2022年5月10日 21時
