33 ページ33
_
長尾「なぁ、A？」
「ん？なに？なんですか？」
長尾「なんで敬語やねん」
「何もないよ！なに？」
長尾は「なんやねん」と笑いながら、私の方に身体を向き直した。
そのまま、私の両肩を掴んで、私も長尾の方に向かされる。
向き合って顔を見合うと、やっぱり長尾は背が伸びとるなって思う。
そんなしょうもないことを考えてへんと、心臓が爆発しそうやった。
長尾「こないだ、急に電話かけてごめん」
「………ええよ、気にしてへん」
長尾「ほんまに？」
「ほんまに、気にしてへん」
長尾は私の肩を掴んだまま、小さく溜め息をついてからはにかんだ。
恥ずかしくてたまらないのに、その表情から目が離せない。
長尾「ちょっとぐらい、気にしてほしいねんけど」
「………えっ、あの」
長尾「俺な、あの日Aの声が聞きたかってん。やから、電話出てくれてほんまに嬉しかった」
「あの……なが、」
長尾「あれからいっぱい考えたんよ。Aは俺の大切な人やから、どうやったら大切に出来んのかなとか、色々」
長尾の真剣な視線が痛いぐらいに刺さって、息が苦しい。
きっと顔も熱くなってるし、今すぐ長尾から離れたいのに、両肩を掴まれてるから離れられへん。
だって、
だってこんな、告白みたいな——
長尾「俺はまだ、大人みたいに格好良くなられへんけど……でも、Aが俺の大切な人やってことには変わりないねん。
大切な、友達って言いたくないぐらい、大切ってこと。わかる？」
「あの、えっと、なが」
長尾「色々一人でうだうだ考えててんけど、やっぱり俺には分からんかったから。俺は俺なりに、Aを大切にする方法を見つけたいって思う」
長尾はそう言ってから、小さく息を吸った。
時間が止まったみたいに感じるその一瞬、太陽に照らされた長尾の両目が、星屑みたいに輝いた。
長尾「答えてほしいなんて言わへんから
——俺は、Aのことが好きやで。俺は、俺にしか出来ひん方法でAのこと、大切にしたいんよ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 357人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「なにわ男子」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
mちゃ(プロフ) - 切ないー！2人にサチアレ (2022年6月2日 16時) (
レス) id: e046c287bb (このIDを非表示/違反報告)
雨野(プロフ) - るんさん» コメントありがとうございます！まだまだ始まったばかりですが、お付き合いいただけたら嬉しいです◎ (2022年5月15日 22時) (レス) id: 71b7fa2e9d (このIDを非表示/違反報告)
るん(プロフ) - お話の流れも雰囲気も凄い好きです！応援してます！ (2022年5月15日 1時) (レス) @page13 id: 09d5484fe2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雨野 | 作成日時：2022年5月10日 21時
