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長尾side
俺がAのことを知ったのは、中学3年のとき。
楽屋で「流星くんの後輩になんねんで」って話をした日。
帰り道に、丈くんからAのことを聞いた。
藤原「謙杜と同学年でさ、俺の知り合いも入学すんねん、あこの高校」
長尾「へぇ！凄い偶然すね！」
藤原「知り合いっていうか、幼馴染やな。実家が近所やって、家族で仲ええんよ」
そう話す丈くんはとても嬉しそうで、俺にとってその人は知らん人やけど、俺まで嬉しくなりそうやった。
長尾「どんな子なんですか？その子」
藤原「どんな子〜？うーん、しっかりしとるな。謙杜の100倍しっかりしとる」
「100倍て！」って突っ込もうとすると、「でも」と真剣な表情で丈くんは続けた。
なんでか丈くんのその顔を、俺は今でも忘れられへん。
目に焼き付いていて、時々鮮明に思い出す。
藤原「……でも、危なっかしいヤツやねん。一人でも平気って顔して、ほんまはいっぱいいっぱいやったり。そういうヤツやからさ」
長尾「過保護すぎやないですか？俺と同い年なんですよね」
藤原「まぁな〜、過保護かもなぁ。でも……こう、ほんまにちっちゃい頃から見とるから、気になってまうんよ」
長尾「丈くん、おとんみたいっすね」
藤原「それ、Aにもよう言われるわ」
丈くんはそう言って、照れ臭そうに頭を掻いた。
藤原「——Aは俺にとって大切な人やねん。仲良くしたってな」
きっとほんまに丈くんにとって親しくて大切な人なんやなって分かって、きっとクラスは違うやろうけど、なんとなくそのAさんに会えたらええなって思ってた。
そんで、入学式の少し後に名前を呼ばれるAを見かけて、(あぁ、あの人が)って分かって。
それからなんとなく、廊下ですれ違ったりする度に(Aさんやなぁ)って思ったりしていて。
それで、2年に上がって美術の授業が始まって、初めてAと喋って。
最初は真面目な子やなぁって思った。
真面目でしっかりしとって、たしかに俺の100倍しっかりしてんなって。
でも、Aが美術を選んだ理由を聞いたあの日、
Aの涙を初めて見たあの日、丈くんの言葉の意味が分かった。
一人でも平気って顔して、ほんまはいっぱいいっぱいなAを見て、なるほどなって。
それと、Aのずっと好きな人が丈くんやってことも分かった。
幼馴染で、でも絶対に付き合えない人なんて、丈くんしかおらん。
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mちゃ(プロフ) - 切ないー！2人にサチアレ (2022年6月2日 16時) (
レス) id: e046c287bb (このIDを非表示/違反報告)
雨野(プロフ) - るんさん» コメントありがとうございます！まだまだ始まったばかりですが、お付き合いいただけたら嬉しいです◎ (2022年5月15日 22時) (レス) id: 71b7fa2e9d (このIDを非表示/違反報告)
るん(プロフ) - お話の流れも雰囲気も凄い好きです！応援してます！ (2022年5月15日 1時) (レス) @page13 id: 09d5484fe2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨野 | 作成日時：2022年5月10日 21時
