『血染めの花』▼笑顔の裏に潜む狂気▲ (ページ6)

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空木邸に向かうバスに乗りこみ、1人席のオレはボーッと窓の外を見つめていた。

どんな話をしたのか本当に知らないけれど、楓から聞いた後柊からも少し話を聞いた。みんな、空木邸で起こった無理心中事件のことを『面白そうだ』そう言っていた。

そしてみんなは気づいていなかったみたいだけど、柊だけは気づいていたらしい。楓の表情が一瞬曇った事。

だから嫌な予感しかしない。今すぐ帰りたい。でもバスは出発してしまった。

後戻りはできない。

貸し切り状態のバスの中は一部を除いてとても楽しそうだ。呑気な人達だな……

西崎先生は相変わらずの顰めっ面。

柊は……と視線を向けると偶然同じタイミングで目が合い、少し驚いたけれど軽く微笑んでおいた。

柊も誰にも気づかれない程度にほんの少し、笑ってくれた。

そしてバスの中だからはっきり聞こえてくる菫ちゃんの人生計画。竹貫先生もツッコミ入れていたけど……そこまで立ててるのか凄すぎる……

でも、

「……そう、上手くいくのかな……」

ポツリと呟き目を閉じた。

こんな煩いところで眠れるのかと問われそうだけど比較的どこでも寝れるのがオレである。

どんどんみんなの話し声が遠くなっていく。そして完全に意識が途切れた。

＿＿夢を見た。

舞台は恐らく空木邸。

見渡す限り赤、赤、赤。その中でオレは横たわっている。動くことも声を出すことも出来ない。息が苦しい。

誰か、誰か……

手を伸ばそうとしても体は言うことを聞いてくれない。ピクリとも動かない。まるで石になったみたいだ。

「だ……れ、か……」

かろうじて出てきた声はとても掠れていて、誰にも届かない。必死になって声を出そうとすれば出そうとするほど声は出てくれない。

喉が熱い、苦しい、苦しい。

喉の奥から何かがどんどん込み上げてくる。

＿＿ゴポッ

口から溢れたのは赤黒い液体。これは、血？なんでオレは血を吐いているの？なんで、なんで、なんで？

苦しい、怖い。今度はどんどん寒くなってくる。

そんな時聞こえてくる優しい声。夢から覚める直前、自分の腕に赤い痣があることに気が付いた……