『血染めの花』▼笑顔の裏に潜む狂気▲ (ページ3)

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合宿初日の朝。柊、楓と一緒に集合場所である校門前に来ていた。

本当はあまり気乗りしない……あそこに泊まりに行くのは……

「はぁ……」

目を伏せ、溜め息をひとつ。

すると隣にいた楓がオレの顔を覗き込む。サラサラとした銀色の髪の隙間から覗く赤い瞳が心配そうに揺れた。

「A、どうしたの？」

顔立ちのとても整っている楓にいきなり顔を近付けられ小さな悲鳴をあげ後ずさる。

突然悲鳴をあげた挙句後ずさったからか楓はしょんぼりと眉を下げた。流石に悪いことをしてしまった……

「ご、ごめんっ……いきなり楓が顔近づけてくるからちょっと、驚いて……」

「なんだ、そっか……僕こそごめんね」

そう言うと楓は優しくオレの頭を撫でる。

何も無ければ優しくて、大好きな兄なんだけどな……

「A、寝癖ついてるぞ」

「ん？あ、柊ありがとう。ちゃんととかしたはずなんだけど……」

「ったく……」

すぐに出せる場所に閉まっておいたくしを取り出し、寝癖があると言われたところをくしでとかす。

そうこうしているうちに、顧問や部員達がぞろぞろと校門前に集まってきた。

1番最後は……桜ちゃんと杏ちゃん。

西崎先生に叱られている2人を遠くから見ていると楓が向こうに歩いていった。

ちらっと柊の方を盗み見ると、視線は杏ちゃんの方に向かっていた。……オレは知っている。柊が杏ちゃんに好意を寄せていること。

結構前に楓に内緒で教えて貰った。

その事は楓にバレてはいけない。だってバレたら……

「……柊、そんな杏ちゃんに熱い視線向けてたら楓にバレちゃうかもしれないよ」

「ッ！ ……分かってる」

互いにしか聞こえない声量で会話をする。

バレてはいけないことは分かっているけれど、どうしても好きな人のことは目で追っちゃうよね。

凄くよくわかるよ。

「＿＿何かあって来られなくなったんじゃないかって、少し落ち込んじゃった。
僕、今回桜と一緒に合宿行くの楽しみにしてたんだから……」

「か、楓……！」

盗み聞きした訳では無いけれど、聞こえてきた楓と桜ちゃんの会話。

その楓の言葉に本当はどんな意味が込められているのか……桜ちゃんは知らない。だから顔を赤く染めているのだろう……