『血染めの花』▼笑顔の裏に潜む狂気▲ (ページ18)

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…16 桜ページ18

「……ごめ、ん……紅葉……」

今度は聞き取れないようなとても小さな寝言だった。その寝言を聞いた楓の肩がビクリと跳ねる。

「紅葉……？誰のことだろう……？」

「……さあ？僕にも分からないな……」

そう言って視線を逸らす楓。

次の瞬間、ハッと目を覚ます柊。

「柊、目が覚めたかい？」

「ああ……何見てんだよテメェら……」

私と杏をギロりと睨みつける柊。寝顔を見られたのが屈辱的なようだ。

いつもなら腹が立つ態度だけど、さっきの楓の話を聞いたあとでは柊のこんな態度も少し違って見えてくる。

きっと柊は今まで頼れる存在が楓しかいなかったんだろう。それは、今も眠っているAも同じだろう。

だから、楓やA以外にはなかなか心を開こうとしないのだ。

「ごめんなさい、柊先輩。
寝ているところを邪魔してしまって……ゆっくり休んでくださいね」

私達は楓、柊、Aから離れ元いたソファーへと戻った。

ソファーに戻ると、向かい側で眠っている椿部長が魘されていた。

「椿先輩、大丈夫ですか……？」

杏が心配して椿部長の肩に手をかけると椿部長が目を覚ました。

「！！ヒッ……！嫌！！」

目を覚ました椿部長は杏の顔を見て何故か驚いた顔をして杏の手を払いのけた。

突然のことに驚いてしまった。

「つ、椿部長どうしたんですか！？
杏、大丈夫？」

椿部長はハッとして、改めて杏の顔を見る。

「やだ……私……！ごめんなさい、杏ちゃん……！
大丈夫だった！？」

「あ、はい。大丈夫ですよ、そんな強い力じゃありませんでしたし……
ところで椿先輩どうしたんですか？」

「本当にごめんなさい……
ちょっと怖い夢を見ていて……それで……」

そう言って杏から視線を逸らす椿部長。

「そういえば椿部長魘されていましたよ。
椿部長が魘されるなんてよっぽど怖い夢だったみたいですね」

「……ええ……本当に……」

汗を拭い、周りを見渡す。本当に暑い……

この暑さのせいで椿部長も悪夢にうなされてしまったんじゃないかと口に出すと、いつの間にか窓側に立っていた西崎先生が話しかけてきた。

「すまない、この部屋はクーラーが壊れているみたいなんだ」

「真夏ですからね……本当に……暑い……」

ふと杏の方を見るととても顔色が悪く、そう言うと杏はその場に倒れてしまった。

「杏！？杏どうしたの！？」