『血染めの花』▼笑顔の裏に潜む狂気▲ (ページ14)

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硬直する菫ちゃん。毒に感染していた竹貫先生が指を怪我した時にその指を舐めた……その時に感染者の血を体内に入れてしまった……

「……私、死ぬの……？蓮ちゃんみたいに……血をいっぱい吐いて……？
ねぇ、桜……どうしよう……
ねぇ、どうしたらいいの……？桜、桜、桜……」

赤い痣が腕に現れ、瞳が絶望の色に染まる。

そんな菫ちゃんを目の前にして、桜ちゃんは何も言葉に出来ない様子だった。

「桜……なんで、そんな目で私を見るの……？」

「え……」

「そんな……可哀想なものを見るような目で見ないでよ……！！
やだ……！やだ、いやだ、腕が熱いよ……！
死にたくない……！誰か、助けて……助けてよ……！！」

桜ちゃんに縋ろうと手を伸ばしてくる菫ちゃん。その手を桜ちゃんが取ろうとした時だった。

「……名色、あたしと一緒に来てくれ」

「……なんでですか……西崎先生……？」

「いいから。他のみんなは談話室に入っていてくれ」

楓が問いかけたが、答えてはくれず、背中を押されてオレ達は談話室に入れられる。

談話室に入るように言われた時、勘づいていた。西崎先生は菫ちゃんを隔離しようとしているんだ。

それに気づいた菫ちゃんは笑う。とても、静かで、不気味な声で……

「ああ……ふふふ、わかったぁ……
西崎先生、私を隔離したいんですね？
これ以上毒の感染者を増やさないように、毒に感染した私を1人にして死なせたいんですね……？」

「そんな……っ、先生、違いますよね！？隔離なんて……！」

必死になって問いかける桜ちゃん。しかし西崎先生が発した言葉は、桜ちゃんが望まない言葉だった。

「……その通りだ、名色。
竹貫先生がいない今、あたしにはこの部の責任者としてみんなの安全を確保する義務がある」

この会話を、あまり、聞いていたくない……

談話室の隅に座り、震えるオレを包み込むように抱き締める楓。楓はオレが落ち着くまで抱き締めていてくれた。

菫ちゃんの狂ったような笑い声が聞こえてくる。

「……じゃあ一緒に、死んでくれるよね？」

楓の肩越しに見えた。菫ちゃんが桜ちゃんの首に手をかけようとしているところを。瞬間、西崎先生は桜ちゃんを談話室に入れ、急いで内側から鍵をかけた。

菫ちゃんだけが、談話室の外に取り残された状態になってしまった。

ドンドンドンと扉が強く叩かれる。

「開けろ！！開けろよ！！裏切り者！！裏切り者！！」