『血染めの花』▼笑顔の裏に潜む狂気▲ (ページ13)

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「おい！西崎がこっちに走ってくるぞ！！」

「本当だ……！」

玄関を覗くと、確かにこちらに走ってくる西崎先生の姿があった。

西崎先生は野良犬に追いかけられながらも必死にこちらに走ってきている。桜ちゃんは慌てて玄関のドアを開けた。

「先生！！早く！！」

「栗栖野……！！」

西崎先生が屋敷に入った後、素早くドアを閉め、オレはドアを必死に押さえ、柊に鍵を閉めてもらった。

息を切らしながら、先生は話す。

「すまない……助けを呼びに来た道を戻ったんだが……
橋が燃えていて渡れない状態だった……」

西崎先生が言うには、燃えていた橋の近くにポリタンクとライターが捨ててあったらしい。

これは、オレ達をこの屋敷に閉じ込めておきたい『誰か』の仕業。橋は渡れない、屋敷の周りには狂犬が彷徨いている。

もう、どこへも逃げられない。

「落ち着け、お前達。
三、四日待てば必ず救助がやってくるはずだ」

混乱するオレ達に西崎先生が声をかける。

「三、四日……」

「三日過ぎても帰ってこないとなるとお前達の親も不振に思って、警察にでも連絡してくれるはずだ」

それもそう、か。

この空木邸で助けが来るのを大人しく待つしかない。ふと桜ちゃんと同じタイミングで大人しくなった菫ちゃんに視線を向ける。

「＿＿＿ッ！！」

「な……ッ！！？？」

足の力が抜け、がくんとその場に崩れ落ちるオレと、震え出す桜ちゃん。

「どうしたんだいA、桜」

「お姉ちゃん……？ A先輩……？」

みんな、オレ達の様子がおかしいことにすぐに気がついた。そして、オレ達の視線の先にいる菫ちゃんをみて言葉を失った。

菫ちゃんは自分の両腕を見てガタガタと震えている。

「なんで……なんで……どうして……！？
いやあああああああああああああああああああああああ！！！！」

菫ちゃんの両腕には、あの赤い痣がくっきりと浮かび上がっていた。どうして……菫ちゃんは竹貫先生に触れていないはず……！！

どうして感染したのか分からないオレだったけれど、桜ちゃんがなにか思い出したかのように口を開いた。

「菫……！竹貫先生が指を怪我した時……
先生の指を舐めたよね……！？」

「……ッ！！」