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伊野尾ちゃんを抱いた次の日の朝は、決まって焦燥感に襲われる。
それはたぶん、伊野尾ちゃんが、俺との関係がバレることを恐れて、時間をずらして家を出ていくから。
「……涼介、どうしたの?」
「ちねん、」
「顔色悪いね。ちょっとしんどい?」
「んー……はは、寝不足、かも。」
「最近深夜まで仕事詰まってるもんね。そこのソファ空いてるし、寝といたら?」
深夜まで仕事をして、
俺の家のベッドで何も言わず待っている伊野尾ちゃんを夜通し抱いて。
次の日また、早く起きて家を出る。
確実に体を蝕んでいくような生活だとはわかっているけど、やめられなくて。
「ありがと。」
「いいえ、僕の財布倒れたら、僕が困るから。」
ソファに寝っ転がって、ちらりと伊野尾ちゃんの方を見ると。
伊野尾ちゃんは、薮ちゃんと楽しそうに話していた。
「……なぁ、ちねん、」
「なぁに。仕事の愚痴なら聞かないよ。」
「……人の気持ちってさぁ、難しいわけよ。」
いくら利害が一致していても、
いくらメリットがあったとしても、
たとえば『それ』にデメリットがなかったとしても。
気持ちがついていかなかったら、全部、水の泡なんだ。
「……なに悟ったこと言っちゃってんの。」
「ちょっと疲れてるんだよ。」
「ま、難しいって言ったら難しいだろうし、簡単だって言ったら簡単なんだろうね。」
目の上に知念の手のひらが乗せられて、眠気が襲ってくる。
考えるのも面倒くさい。
自分がこんなに面倒くさい恋心を持つなんて、思ってもみなかった。
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作者名:ゆかいな腐女子たち x他1人 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/ke_i_817
作成日時:2017年8月6日 13時