$6 ページ7
side:you
長く感じる沈黙。
耐えきれず、受け取ったグラスに口を付けた。
北斗「…あんた、こないだのトイレのか」
それとほぼ同時に、突然合点がいったように突然声を発した彼。
危うく咽せ込みそうになるのを必死に堪え、小さく頷く。
北斗「こないだより顔色は良さそうだな」
A「覚えててくれたんですね」
北斗「まあ、ここで悪酔いしてトイレに駆け込む奴なんか見た事なかったからな」
目を逸らしながら紡がれる言葉はジョークのつもりなのか、ストレートな嫌味なのか分からない冷たい感じが苦手だ。
ふと、彼の方に視線をやるとため息をつかれる。
北斗「…あんたもやっぱここに来る女、だな」
A「え⁇」
北斗「今物欲しそうに見てたろ」
これ、とベストからネクタイピンを引っ張り出した。
間接照明の僅かな光でも美しく乱反射するブラックダイアモンドのあしらわれた、アンティーク調のデザイン。
A「別に欲しいとは…ただ、綺麗だなって」
北斗「お高く止まんなよ。そういやお前、まだ何も付けてないもんな」
A「どういう意味⁇」
やっとこちらに視線を向けたと思ったら、失礼にも軽蔑するような顔をされた。
あまりの居心地悪さに視線をフロアに逃すと、遠くに女性と立ち話をするジェシーを捉えた。
その胸には、小さなルビーが散りばめられたブローチ
そして女性の耳には同じルビーの輝くピアス。
改めて見渡すと、女性は皆カラーストーンのアクセサリーを身につけている。
…なるほど、ね。
A「…そんなつもりないですよ」
北斗「あそ…お前が賢い女だったのが救いだな」
何がおかしいのか、彼はクスリと口角を上げグラスを片手に立ち去ろうと重心を動かした。
北斗「親切ついでにもう一つ教えてやるよ」
これ以上関わっても不快になるだけと引き留めずにいたら、今度は向こうから振り返り耳打ちされる。
北斗「そのグラス、さっきジェシーが口付けたやつだから」
口を付けてないと言われ渡されたから飲んだのに…と唖然としていると、'ここでは何も信じるなって事'と付け足し、踵を返して行った。
A「…なんなんだ、あの人」
親切なのか嫌味なのか。
よく分からない彼、松村北斗の離れる背中を無意味に睨んでみた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 507人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
七星のあ - あおさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます☺︎ご期待に添えるように頑張ります。 (2022年11月29日 23時) (
レス) id: 0371497e5e (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - モチーフになった曲も大好きなので、こういう作品読みたいと思ってました！！見つけられて良かったです☺️☺️楽しみにしてます。 (2022年11月28日 0時) (レス) id: 0c466d2450 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：七星のあ | 作成日時：2020年7月10日 8時
