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side:you
大我「ここまで付いてきちゃった君に言われてもね」
小馬鹿にしたように笑われる。
外とは対照的に殺風景な部屋。
綺麗な大理石の床に薄張の水槽壁。
ビルの高層階にあたるのか、ガラス張りの向こうは光の海。
手前に白い臥榻。
この部屋の意味を知らないふりをする方が野暮だ。
大我「…おいで?」
窓際に腰掛ける、今この瞬間の私の所有者。
ゆっくりと近付くと先程と同じく後髪に指を絡める。
大我「…別のこと考えてる」
A「え…?」
大我「それとも慣れてるだけ?」
こちらの感情を押し図ろうとする臆病さ。
後頭部に触る癖は強い独占欲の表れ。
突き合わせた膝は、この駆け引きに勝っていると思い込んでいる傲慢さ。
ひとつひとつの行動をなぞれば見えて来る全貌。
大我「君が誰の何なのか知らないけど俺、欲しいと思ったものは何がなんでも手に入れないと気が済まないんだ」
A「強欲、」
大我「かもね、笑」
皮肉に歪んだ唇が近付く。
その瞬間
__prrrrr!
大我「…っ」
A「…鳴ってる。出ないの?」
震えたポケットの中を一瞥すると、急に眉間に皺を寄せ
しばらく語気の強いやりとりをする。
通話が終わると、私を窓際に残したまま再びジャケットを手に取った。
A「…きょも?」
大我「仕事。すぐ戻るからここでいい子に待ってて」
返事を制すように首筋に口付けを落とされる。
余韻などなく、足早に部屋を出て行った。
A「いい子に、ね…」
…制された返事は、必ずしも相手の望み通りとは限らない。
乱れた髪に手櫛を通し、寸分遅れで私も部屋を出ようとドアノブに手を掛ける。
しかし、想定よりも強い負荷が手首に掛かった。
A「嘘でしょ」
扉自体に鍵はなく、近くにあるタッチパネルは起動したは良いものの生体認証システムらしく当然登録のない私の静脈は役に立たない。
いい子に待ってろ?
もはやこれは軟禁に値する。
完全に退路を絶たれ、最早ため息を吐くしか出来なくなり無力感からベッドへ体を投げた私の鼓膜に解錠音が響く。
こんなに早く帰ってきたのか。
不信感を連れ、扉へ向かう。
そこには俄かに信じがたい光景。
A「な、んで…」
北斗「早く出ろよ」
先程悪態を吐いた張本人が、なぜか扉の外にいた。
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七星のあ - あおさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます☺︎ご期待に添えるように頑張ります。 (2022年11月29日 23時) (レス) id: 0371497e5e (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - モチーフになった曲も大好きなので、こういう作品読みたいと思ってました!!見つけられて良かったです☺️☺️楽しみにしてます。 (2022年11月28日 0時) (レス) id: 0c466d2450 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:七星のあ | 作成日時:2020年7月10日 8時