月光の妖術 ページ24
kwkm＿side
「や〜ば〜いぃ〜〜〜っ……」
あかん、ほんまに何も思いつかん。
告白って、誰に、とか。そんなことはいったんどうでもいい。兎に角文学的なもので、思いついたものを言ってしまえばこっちのものだ。
自分の言葉ではない分、気恥ずかしさは少ない。しかし、頬杖をついて待つ藤崎さんがいる。別に、藤崎さんに向かって言うから焦るのではなく。
同じ学部の後輩を冷めさせたくないのだ。
一応、先輩というものの矜持があってだな。
「おーいどうしたリア王〜〜」
「おいお〜い思いつかないのかよー」
「ちょっと外野うるさいんだけど……」
「あははっ！マジで困ってるじゃん！！ざまぁ！」
「クイズに勝った川上さんイジるの楽しすぎる……」
野次が思考を邪魔する。本当に、何でこう、罰ゲームを俺はよくくらうんだろう。
ましてや今日は勝ったのに……
「あぁぁぁぁぁぁ……待ってぇ？え、ちょ、本当に出てこない……」
やばいやばい、此処でまともな表現の一つも出さずに場を白けさせるのはYouTuber的にも、文学部的にも大変不味い。
兎に角落ち着いて、月が出てくる何かを探す。
月とスッポン、アホか。
月に叢雲、花に風……いや三角関係すぎるだろ
ホロスコープで月は受け皿だったな。いやしっくりこない。
月満つれば則ち虧く、いや、リア充の諸行無常を悟りすぎやろ……
月、月の出てくる文学……
あ、江戸川乱歩。
「目羅博士の不思議な犯罪……」
「ちょっ、川上さん……あなたそれはね」
「あぁー、待って待って藤崎さん違う今のは本当に違いますからっ」
「まーた川上はチカチーロみたいなこと言い出したよ……」
「藤崎さん、今の僕知りません」
「江戸川乱歩の探偵小説です。月の夜に三度同じ場所で事件が起こるというものでしてね」
じとっとした藤崎さんの視線が少し痛かった。河村さんが話を上手いこと逸らして俺のシンキングタイムを増やしてくれたのはありがたい。
「でも中々素敵なお答えが見つかりそうですよ」
呆れ混じりの表情は藤崎さんからは見受けられない。ソファーにもたれて、うっそりと笑う彼女は妙な妖しさを持っていた。
「作中で語られるのは、月光の妖術。月は人を芸術的狂気に導くのですから……月が狂わせる、そんな言葉遊びをそこから導ければ素敵です」
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きりは(プロフ) - 雰囲気も、言葉選びも、何もかもが美しくて、一番大好きな夢小説です。更新を辞められたのかもしれませんが、凄く幸せな気持ちにさせて頂いたのでコメントさせていただきます。お身体にはお気をつけて。 (2021年8月15日 15時) (
レス) id: 5e4309df87 (このIDを非表示/違反報告)
Loot(プロフ) - 珈琲丸さん» コメントありがとうございます！そう言って頂けると本当に励みになります。是非またいらしてください！ (2020年12月20日 12時) (レス) id: b999c2c44c (このIDを非表示/違反報告)
珈琲丸 - 文章がとてもきれいで素敵です。ご無理のない範囲で頑張ってください。ありきたりですが応援しています。 (2020年12月19日 20時) (レス) id: 13095fee98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Loot | 作成日時：2020年12月13日 0時
