ペルセフォネ ページ14
izw＿side
全く俺を構おうともしない川上を他所に、先程のツイートへのリプライは続々やってくる。
こっち見てる方が楽しいな。
@＿＿＿
休憩中ですか？
@＿＿＿
ブックカバー可愛すぎませんか？？？
@＿＿＿
読者中の川上さんもイケメンすぎる……
@＿＿＿
読者の春ですね笑
@＿＿＿
顔がいい……
@＿＿＿
供給ありがとうございます！！！！！！
@＿＿＿
そのカバー私物ですか？
みんなホント川上好きだな。
なんか、ちょっと面白いようなつまらないような不思議な気分のまま、増え続けるリプ欄をスクロール。
どれも似たり寄ったりなコメントの中、たった一つのツイートが目に止まった。
@＿＿＿
そんな私はペルセフォネ
「ねぇ川上」
「何ですか」
「このリプ絶対藤崎ちゃんだよ」
名前を出した途端に顔を上げて、重い腰を上げた。現金なやつだな。
「どれですか」
「ちょっ、近い近い近い……」
俺のスマホを覗き込む川上の勢いが凄い。ピクリとも表情を変えないわりに、体全身で興味を表してきやがる。
何なんだこいつ。
「これですか、藤崎さんっぽいのって」
「そうそう。凄い文学的じゃない？」
＿＿そんな私はペルセフォネ
女性の横顔、所謂"エモい"アイコンのその人のリプライは、ツイートして三分以内に戻ってきたにしては極めて文学的な香りがする。
ペルセフォネとは、ギリシャ神話の春の女神。冥界の女王でもあるが、地上に戻ってくると共に世界に春をもたらすとされている。
「うわ、藤崎さん言いそう……」
一つつぶやいて、勝手に俺のスマホでそのアイコンをタップする。ツイートを覗くより先に、まずはメディアを見始めた。
「うっっっわ映えてる」
「キラキラ女子すぎて目ェ潰れそうですね」
今日のコーデ、お洒落なケーキ、早朝の公園、抹茶フラペチーノ、遅咲きの桃の花。
典型的なキラキラ女子大生な感じがする。どれもいいねは三桁を超えているのが何とも言えない。
「動詞しかツイートしてませんね」
「本当だー……」
どんなお洒落な画像付きでも、ツイートは「着た」とか「食べた」とか「咲いた」だとか、随分素っ気ない雰囲気だ。それも相まって"エモい"んだろうか。
「んっ、伊沢さん、これ……」
「んぁ？」
川上が指差す写真は、某・有名コーヒーチェーンの春の新作だ。
カップを持つ白い手の指先は、見覚えのある桜色だ。
極め付けに手元に置かれた文庫本は、桜柄のちりめん生地を纏っている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 80人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「QuizKnock」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きりは(プロフ) - 雰囲気も、言葉選びも、何もかもが美しくて、一番大好きな夢小説です。更新を辞められたのかもしれませんが、凄く幸せな気持ちにさせて頂いたのでコメントさせていただきます。お身体にはお気をつけて。 (2021年8月15日 15時) (
レス) id: 5e4309df87 (このIDを非表示/違反報告)
Loot(プロフ) - 珈琲丸さん» コメントありがとうございます！そう言って頂けると本当に励みになります。是非またいらしてください！ (2020年12月20日 12時) (レス) id: b999c2c44c (このIDを非表示/違反報告)
珈琲丸 - 文章がとてもきれいで素敵です。ご無理のない範囲で頑張ってください。ありきたりですが応援しています。 (2020年12月19日 20時) (レス) id: 13095fee98 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Loot | 作成日時：2020年12月13日 0時
