肆話 ページ36
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昔、それはそう何百年も昔の事。
ある村に二人の恋人がいました。
その恋人たちは、慎ましくも幸せな生活をおくっていました。
『杏ちゃん、早く行きましょう?』
煉獄「ああ、そうだな」
二人は肩を寄せ合って歩いていきます。
どこの誰が見ても幸せそうでした。
幸せは長くは続かない。
誰が言ったのでしょう?
それは、突然、あまりにも突然起きました。
恋人の内、一人が、倒れてしまったのです。
病気でした。
誰も治す事が出来ないと言いました。
けれども、もう一人は諦めませんでした。
自らの彼女が、愛しい人が助かる方法をずっとずっと、探したのです。
彼は、優しい人でした。
そんな優しい彼に彼女は惚れてしまったのです。
でもだからこそ、愛しい彼にこれ以上無理はしてほしくありません。
彼女は、自分が死ぬのは仕方がないことだから、と言いました。
彼は泣き続けました。
彼女が死ぬまで手を離しませんでした。
『そろそろみたい』
彼女はそう言いました。
彼は何も言わずただただ、哀しい顔をしました。
『幸せでした』
彼女はそう続けます。
彼は、彼女に話しかけます。
煉獄「A…!A…!逝かないでくれ…!」
必死に、必死に彼は言います。
けれども時は戻りません。
どれだけ願おうとも、どれだけ想おうとも。
それは、二度と戻る事の無い幸せでした。
彼女も祈りました。
『(出来る事なら天に輝く明星さん、私の時を返してください…)』
けれども、時は止まる事も戻る事もありませんでした。
二人は引き離されてしまいました。
“この世とあの世”と言う大きな二つの世界に
あの世で彼女は願いました。
次生まれる時はあの人と、杏ちゃんと一緒がいい、と。
人が生きるこの世で彼は願いました。
次の人生ではもっと一緒に居たい、と。
二人の願いは叶いました。
けれどもそこは、鬼が居る怖い世界でした。
そして彼は彼女の事を覚えて居ませんでした。
『今日より四季柱を務めさせていただきます、櫻井Aです。(杏ちゃん、やっと会えた)』
皆が彼女に挨拶していく中、遂に彼の番になりました。
煉獄「ふむ!はじめましてだな!俺は煉獄杏寿郎だ!よろしく頼む!」
前世と変わらぬその声は確かにはじめまして、と言いました。
彼は彼女の事がわかりませんでした。
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水城舞梨亜(プロフ) - 抹茶タピオカ2号さん» 夢主ちゃん……ホントは可哀想だなぁとか思いながら書いてる(ヽ´ω`)((( 面白い、何よりです! (2020年3月27日 21時) (レス) id: 0e4689ecab (このIDを非表示/違反報告)
抹茶タピオカ2号(プロフ) - 水城舞梨亜さん» 夢主ちゃんどんどん死が、ちかずいてる((( ;゚Д゚)))ガクガクとても面白かったです( ≧∀≦)ノ (2020年3月27日 19時) (レス) id: 48661705e7 (このIDを非表示/違反報告)
水城舞梨亜(プロフ) - 抹茶タピオカ2号さん» いやホントごめんなさい!昨日、寝ぼけたのか何なのか非公開にし忘れちゃってて!もうこんな事は無いようにします( ;∀;)今日はもう一話更新しまぁす。 (2020年3月24日 22時) (レス) id: 0e4689ecab (このIDを非表示/違反報告)
抹茶タピオカ2号(プロフ) - 水城舞梨亜さん» マジすか( ゚□゚) (2020年3月24日 20時) (レス) id: 48661705e7 (このIDを非表示/違反報告)
水城舞梨亜(プロフ) - 抹茶タピオカ2号さん» 面白いと言ってくれてありがとう!!!(*´▽`*) (2020年3月24日 20時) (レス) id: 0e4689ecab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水城舞梨亜 | 作成日時:2019年12月18日 22時