夢主死ネタ短編集＿＿壱【鬼滅の刃】

伍話 ページ17

伊黒Side
─────
俺は卑怯なやつだと思う。

甘露寺との任務の帰りに攻撃をされて見てみればそこにはAが居た。

顔は笑顔だった。

でも、何故か悲しそうに見えた。

だからか、俺は戦いにあまり参加しなかった。

だが、甘露寺に攻撃をしているAは苦しそうだった。

人を食べたか聞いた時もそうだった。

一瞬、詰まってから、食べたと言った。

本当は食べてなかったんじゃないか。

本当は食べてないと言いたかったんじゃないか。

Aはきっと、人を殺しても、食べても居ない。

それどころか傷ひとつつけたのも初めてじゃないか？

そう思ってたのに、口にでたのは違う言葉だった。

伊黒小芭内
「甘露寺……残念だが、人を喰ってしまっている。……倒さなくては…」

そう言った。

違う。そうじゃない。

思っている事とはまるで正反対の事を口にしてしまった。

やはり、俺は卑怯なやつだ。

そして甘露寺が悲しそうにAの頸を斬った。

Aは最後に血鬼術を使って青いカーネーションと桃色のかすみ草を出した。

俺は知っている。

多分、甘露寺も。

青いカーネーション、花言葉 【永遠の幸福】

桃色のかすみ草、花言葉 【幸福】【感謝】

甘露寺が泣いた。

だけど俺は泣けない。

Aが死んだのは俺のせいだ。

俺があの時、甘露寺に何も言わなければ…

どんなに後悔しても、前の日々が戻る事は無かった。

〈〈〈伊黒小芭内Side終了〉〉〉

甘露寺蜜璃
「恋の呼吸・参ノ型 恋猫しぐれ」

『血鬼術・焼華千年』

Aの頸が斬れた。

そして、Aは塵となり、消えていった。

Aの最後の血鬼術。

それで出した花は青いカーネーションと桃色のかすみ草。

青いカーネーションをピンクのかすみ草が飾った、綺麗な花束。

花言葉

青いカーネーション
【永遠の幸福】

桃色のかすみ草
【感謝】【幸福】

甘露寺蜜璃は沢山泣いた。

伊黒小芭内は沢山後悔した。

二人がお館様に報告すれば、お館様も静かに一筋涙を流した。

甘露寺蜜璃と伊黒小芭内は、もうこんな事が無いように、人を信じるようにした。

甘露寺蜜璃は何かあればすぐに第三者の話を聞き、

伊黒小芭内は信用しないと言わなくなった。

こうして人は、人の死をきっかけに変わったりするのだ。

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