中原補佐官は政略結婚ですけど何か【文スト】 (ページ2)

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中原中也という存在ページ2

中原補佐官は

ある一室で止まった

少し、息を整えた

そして

リズムよく戸をノックした

中から微かに声が聞こえ、戸を開ける

「失礼します、中原幹部」

背を向けていた彼は

此方に向き直った

淡い青の瞳が美しい

彼は

私の夫

「此方が資料です」

机にそっと置くと

彼は直ぐに手に取った

私は

中原紫乃

今、目の前にいる

中原幹部こと

中原中也の

妻

妻と言っても政略結婚だけど

嫌なことを思いだした

私は大きく息を吐いた

「どうした？疲れてるのか？」

上目遣い気味に彼は私を見上げた

「えぇ、少し」

適当に誤魔化したが

疲れていることに変わりはない

今は午前3時

俗に言うアレが出る時間である

旧暦で言うと「牛の刻」と呼ばれる時間だろう

いくらポートマフィアでも

人間なのだ

この時間、まだ残っている人は少ない

私はうとうとしながらパソコンをつついていた

どちらにせよ

中原幹部が帰らないと私は帰れない

帰る家が同じなのだから

帰るのも来るのも一緒なのだ

そんなことを考えていると

私はうとうとしてきて

2ヶ月前の夢を見た

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

「泉くん

君は結婚する気はないのかね？」

突然ボスに聞かれたのがきっかけだった

私をポートマフィアに勧誘したのは

姐さんで

だから姐さんの元につけると思っていた

でも

私は思いのほか

中原幹部の補佐官に着いた

だんだんと補佐官の生活にも

慣れてきた時のことだった

「結婚、、、ですか？」

結婚、と言われても

私は今年で20歳を迎えたばかりだった

「でも、今は仕事が忙しいので」

私が言うと

ボスは意味ありげに笑った

そして

紙を差し出した

「相手方はその気になっているよ」

ゆっくりと近づき

紙を確認すると

「中原中也」

という文字が書かれていた

「な、かはら幹部、、、？」

「君ならわかるだろう？

この字は紛れもない、中也くんの字だ」

私は震える手を押さえた

「少し、、、時間をください」

そして

私は姐さんの元に向かった

姐さんの部屋は相変わらず綺麗だった

紅茶の匂いが広がる

「何かあったのかえ？」

姐さんの入れたお茶は

アールグレイ

私の好きなお茶だ

私は

曇りなき空を見て言った

「私、、、結婚するらしいんです」