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memories2 ページ43

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「しょーりくん!みてみて!きいろいじゅうたんっ」


「お、ほんとだね!」



もう10年以上も前、秋になると小中学校の通学路は一面いちょうの葉で覆われた。


まだ彼女の呂律がちゃんとまわらない年のころ、その辺をのらりくらりと散歩しふと発した言葉。


今考えれば、イチョウの葉で覆われた道を「黄色いじゅうたん」だなんて想像力豊かなんだろう、詩でも書けるんじゃないか、って思うくらいだ。



「いま、なにしてるんだろう…」



なんでもないときにふと思い出す。

いや。それは嘘だ。気付けば彼女のことを考えている自分がいる。
俺だって馬鹿じゃない。この気持ちがなんなのかくらい想像はつく。



「恋…か…。」



さっき健人くんに言われたことが妙に耳に残る。
図星、と言われればそうなのかもしれない。



「もうAちゃんも大学生か…」



福井A。
俺の幼馴染であり、健人くんの分析いわく初恋の人。


今年から大学に入学しているはずだけど、どこの大学でどこの学科なんて知る由もない。



俺たちは同じマンションのお隣だった。
親同士がとてつも仲が良く隣同士で住んでいるのもそういう理由。


でも向こうの旦那さんの仕事の都合とかで引っ越しをせざるを得なくなったようで、別れるときには泣いていた。



「ねっ…しょーりくん…」

「なに、Aちゃん」



Aちゃんの目からは大粒の涙が伝っていてどうしたらいいのかわからなくなっていたのをよく覚えている。



「Aのこと…、わすれ、ないでっ、ね…っ」



嗚咽を含みながらそういうもんだから思わずぎゅーっと抱きしめて大きく頷いた。




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名無し55311号(プロフ) - ですよね!更新がんばってください! (2016年5月21日 22時) (レス) id: 9518d77807 (このIDを非表示/違反報告)
いのぱる(プロフ) - 名無し55311号さん» コメントありがとうございます(´;ω;`)これからもたくさん更新して参りますね♪ちなみににのみやさんの曲ですよ♪ (2016年5月21日 21時) (レス) id: 7403cdca1c (このIDを非表示/違反報告)
名無し55311号(プロフ) - すごい楽しみにして見てます!更新がんばってくださいrainbowって二宮和也の虹ですか? (2016年5月21日 18時) (レス) id: 9518d77807 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いのぱる。 | 作成日時:2016年5月18日 23時

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