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「ふぅ、やっと終わったぁ、」
「お疲れ様、」
「久々にこんなに長い時間勉強しました …」
「おお!じゃあ少しは頭良くなったんじゃねえの?」
とても疲れているようには見えないありおか先輩と、ものすごくぐったりしている伊野尾せんぱい。
そりゃそうだ、俺とありおか先輩の分からないとこをずっと丁寧に教えてくれていたのだから。
ものすごく分かりやすくて、分かるまで教えてくれる先輩が先生よりも偉く見えてきた。
「あ!俺これからバイトなんだよね!」
携帯を見て少し焦り気味のありおか先輩。
俺も時計を見ると、もう6時半だった。
「ありがとう伊野ちゃん!やまだ頑張れよ!」
じゃっ! と軽く俺たちに手を振り走って帰っていった。
やっと、ふたりきりだ。
「伊野尾せんぱい … もう、帰りますか?」
「もちろん、疲れたし。」
俺はまだせんぱいと一緒にいたいのに、せんぱいはそんな事絶対思ってない。
女々しすぎる自分自身が、鬱陶しい。
でも、離れたくない、し、
聞きたいことがある。
「あの … っ」
「なに?俺早く帰りたいんだけど」
「先輩、怒ってますか?」
「………は?」
ずっと聞きたかった、疑問。
今日の先輩はいつにも増して口調がきつい。
小心者の俺の心臓はほぼ壊れかけていた。
「今日のせんぱい、なんか怖い、」
「… それは山田の思い込みでしょ。」
「…………え?」
「俺はいつもこうだから、別に怒ってないし山田を怖がらせようともしてない。」
………… 嘘だ、絶対怒ってる。
いつもせんぱいは、笑っている。のに今日は1回も笑顔を見ていない。
大好きな、先輩の笑顔。
「思い込みなんかじゃない、」
「じゃあ、勘違い。」
「違う!今日のせんぱいおかしい!」
伊野尾せんぱいは、こんなに言い訳しないもん。
いつもこういうのを面倒くさがってすぐに理由を話してくれるのに、
今日のせんぱいは、何を考えているのか分からない。
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なすも(プロフ) - shootingstarhapさん» ほんとですか!嬉しいです!これからもどうぞよろしくお願いします^^ (2019年6月15日 21時) (レス) id: 457ac5cab4 (このIDを非表示/違反報告)
shootingstarhap(プロフ) - やまいのさんもいのやまさんもどちらのお話しも好きです(^^)キュンとしました(^-^) (2019年6月15日 0時) (レス) id: 29c1b2b83b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なすも | 作成日時:2019年6月9日 14時