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「おはよ、涼介。」
「ん……おはよ。」
ゆーてぃが部活に行ったので一人で教室に行くと、珍しく早く登校してる涼介がいた。
机に突っ伏してたから、多分眠ってたんだろうけど。
「そういえば今日、伊野尾先生が、」
「やめて。」
「え？」
「ごめん、……今は先生の話、したくないかも。」
ちょっとだけ顔を辛そうに歪めたあと、涼介はまた机に突っ伏す。
先生となんかあったんだ。
一番めんどくさい落ち込み方してるよ、これ。
「伊野尾先生がイメチェンしてたよ？」
「ちょ、やめてっていったじゃん、」
「眼鏡もとって、髪も茶髪のマッシュルームだった。すんごく可愛かった。」
「……あっそ。」
机から顔を上げた涼介は素っ気なく応えたものの、表情は『なんで』とか『どうして』とか焦っているみたいだった。
「行かないの？ 先生のとこ。」
「……辛いって言われた。」
「え？」
「せんせーは、俺と一緒にいると辛いんだって。」
はぁ、と小さくため息をついて、くしゃくしゃと髪の毛をかき混ぜてから涼介は頬杖をついた。
「ただの教師と思えって、無理に決まってるし。」
「……」
「……一緒にいられない方が俺は辛いんだっつーの。」
「……っくふ、あはは、」
なんだそれ。
涼介だって、もう立派に先生への感情を持ってるんじゃん。
「まったく、涼介はほんと馬鹿だね。」
「え、え、なんで急に俺ディスられてんの？」
「しょうがないから、僕もちょっとだけ手伝ってあげる。」
上手くいかないわけがない二人の恋が、二人の関係が、あるべき姿に収まるように。
遊び人な親友がした初めての恋なんて、応援しないわけにはいかないよ？
「僕が、ぜったい成功させてあげる。」
自然に口角があがる。
涼介はよくわかっていない顔で、それでも少しだけ笑って、ありがと、と言葉を紡いだ。
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作者名：鎖空
| 作成日時：2017年7月27日 21時
