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「シャワー、ありがと。」


髪の毛だけ丁寧に洗ってお風呂場から出ると、キッチンで料理をするいのおちゃんが振り返った。


「あ、出たんだ。
……夜ご飯、食べてく?」

「え、いいの?」

「まぁ、下手だけど……」


そう言ってキッチンに向き直るいのおちゃん。なんだかこれで会話が終わるのは嫌で、つい話しかけてた。



「光くんは? いいの?」

「っえ、あ、呼ぶ……?」

「いやいやいやいや、呼ばなくていい。」


とん、とんとん、と不器用な料理の音が響くなか、消え入りそうないのおちゃんの声が届いた。


「……昨日は、ありがとう。」

「あぁ、風邪? 今度から引かないようにしなよ?」

「……なんで生徒のくせに上から目線?」



むっとした声が聞こえて、さばの味噌煮を持ったいのおちゃんがリビングのテーブルにそれを置く。

そのままキッチンに戻るかと思いきや、俺が座ってるソファに向き直って、ぎゅーっと俺のほっぺをつまんだ。


「いひゃ……いひゃいよ、」

「……生徒のくせに、…こっちは、教師なのに、」

「ほぁ……?」


ほっぺをつままれているからか、いのおちゃんの癖が移ったのか、間抜けな声が出た。



「……っやまちゃん、授業中も、おれのこと無視するし、」

「へ、?」

「居残りもさぼるし、っちねんくんとデート、とか…………ちょっとは、おれのいうこと聞いて、」

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作者名:鎖空 | 作成日時:2017年7月27日 21時

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