ださくてかわいい、いのお先生 (Ym × In) (ページ17)

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「………むぐ、んぐぐ……？」

シーツから漂う洗剤の香りと、いのおちゃんから香る柔軟剤の香りに包まれてお昼寝していたら、鼻から入ってくる空気が急激に少なくなった。

「…んぐっ……！？」

薄く目を開くと、俺をぎゅーぎゅー抱き締めるいのおちゃんが見えた。俺の口元にはいのおちゃんの肩が当たっている。
体をじたばたさせるも動じないいのおちゃんに、そろそろ走馬灯が見えそうになった頃。

「ちょ、いのちゃんっ！」

誰かが駆け寄ってきて、いのおちゃんの腕をほどいてくれた。

「っぷは、うぇえ……」

「だいじょうぶ、山田くん……だよね？」

ああだいじょうぶですと答えた後に、その人が誰かをはっきりと見た。

いのおちゃんに負けないぐらい細いけど、いのおちゃんよりは程よく筋肉がついていそう。

あれ、この人どっかで……

「……っあ、ピアニストの八乙女さん！」

「あれ、なんで知ってんの？」

いや、それはこっちの台詞。
この人こそなんで俺の名前知ってんだし。

「あの、俺、山田涼介です。いのおちゃ……伊野尾先生の生徒の。」

一応改めて挨拶。
いのちゃんから聞いてるよ、とその人がにっこり笑った。

「俺は八乙女光、光でいいよ。ピアニストやってて、いのちゃんの高校の同級生。」

「じゃあ、光くんで。」

「うん、よろしくね。」

あ、なんかかっこいいこの人。
ピアノもできてかっこいいとか、さぞかしモテるんだろうな。