短編集 JUMP (ページ2)

今日:12 hit、昨日:23 hit、合計:1,876 hit

. ページ2

In side

髙木先生は優しく分かりやすく教えてくれて、そのおかげで問題が解けた。

「お、いいじゃ〜ん伊野尾さん！そんな感じ！」
「やったー！分かったかも！もっと褒めてくださーい」
「お〜よしよし〜偉いぞ〜〜」

幼児をあやす、もしくは犬を可愛がるような、若干面白がってるような口調。
なんか恥ずかしくてかぁっと耳が熱くなる。

「でもまじですごいよ。本当にきちんと理解してるね」
だけど真っ直ぐな瞳でストレートに言葉で伝えてくれて。
そのギャップにドキドキしてしまっていつものようにふざけて返せずあたふたしてしまう。

いつも私ばっかり先生にドキドキさせられて、先生は私のこと子供扱い。
私の子供っぽい言動のせいだろうけど。

私も先生にあっと言わせてやりたい！
こう見えても私、同世代にはモテるんだから！！

「はい、気をつけて帰りなね」
そんなこんなで解説は終わり、優しく私を扉まで送り返す先生。

よし、今だ。

「まだ…、帰りたくないっ！」
ギュッと、先生のその高い腰と鍛えられたお腹に抱きつく。

バサッ…と落ちる問題集。

「ちょ、、っ伊野尾さん、？」

ふふふ。先生、動揺してるな？
追い討ちかけちゃお！

お腹にうずめてた顔を上げて、自分なりの精一杯可愛い上目遣いで見つめた先には。

あたふた焦る髙木先生………ではなく、笑ってる先生がいた。
「ブッ、なんで変顔してんだよ(笑)(笑)」
「ひどーーーい！変顔じゃないですー！上目遣い！」
不服すぎて唇がとがる。
「あはは、ごめんごめん(笑)面白くて。なんでそんな顔したの」
「だって、、先生に可愛いって思ってもらいたいんですもん…！
先生がかっこいいから。私ばっかりどきどきさせられちゃって」

流れに任せていつも言えないことを言っちゃって、恥ずかしくてちょっと俯いてしまう。
と、髙木先生の雰囲気がいつもと違うことに気づいた。

熱っぽい視線に見つめられ、カーーッと頬が熱くなって、かちこちに身体が固まってしまい動けない。

「…はーー、可愛すぎんだろ」
先生を抱きしめたままの私の耳元へ、顔を近づけて囁かれた低い声。

え？？？先生が、私に可愛いって言った？？？？
信じられない。え、うそ。都合のいい夢？
距離も近すぎるし、心臓が飛び出そうなほどドキドキしていて、もう何も言えそうにない。
あわてて離れようとするが、背中に腕があり離れられない。

え？え？え？

脳内パニック。
気づけば私は先生の腕の中にいた。