時をかける人 ページ7
Ryosuke.Y side
大「‥‥‥‥悪かったと思ってるよ？山田。」
涼「は？お前、何言ってんだよ」
変だ。
いつもの大ちゃんとはなにかが
まるっきり違っている
そのなにかが何なのかは
さっぱり分からないのだけれど
大「‥‥来いよ」
悪い笑顔のままで手招きしたと思えば
次の瞬間には人混みの中へ
彼の後ろ姿に引き寄せられたかのように
俺自身も人混みのなかへ消えゆく気がした
...
...
...
...
...
...
...
...
大「ふふっ、」
さっき聞いた笑い声とは全く異なる
聴こえ方がした気がする
いや、本当に違う
さっき聞いたのが友達だった
大ちゃんの笑い声だとしたら
今聞いたのは友達なんかの笑い声じゃない
涼「‥‥‥悪魔、」
大「なに、もしかして俺の事？」
彼の目元から目線をそらさず首を縦に振る
大「‥‥そんな物騒なもんに例えないでくれよな」
大ちゃんの後ろ姿に引き寄せられて
やってきたのはやけに豪華なのに
大して広くはない応接室のような部屋
そして壁という壁に絵が張りつけてある
はっきり言ってものすごく不気味だ
ここまで不気味さを感じるのは
その絵が全て肖像画だからだろう
大「ははっ、呑まれちゃったね？」
高らかに笑う彼の意図は全くわからない
涼「‥‥‥なにに？」
大「もちろん、この世界に。」
俺の方に身を乗り出すかのように
さっきまで肘掛けにのせられていた腕を
膝にのっけたのは何故？
大「見ろよ、この絵画たち」
勢いよく立ち上がった彼は
腕をめいっぱい広げてなんだか満足そうだ
涼「‥‥‥絵がどうしたんだよ」
大「これさ、全部同じ人の絵なんだよね」
涼「は？」
大「これとかどう？」
大ちゃんが指さした先には
優しく笑みを浮かべた男の子の肖像画
誰が見ても口を揃えて美形だと言うんだろうな
それくらい顔のパーツが整った男の子だった
大「で、これが最新」
涼「‥‥‥へえ、随分若い人なんだね？」
額縁のないその肖像画の隅には2年前の日付
大「お前、まだ気づかないんだな」
涼「へ？」
大ちゃんの視線の先にあった絵は
2年前の日付が書かれた肖像画と何も変わらない
だが日付だけが違った
1969.06.22.
ちょうど50年前
.
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misaki - 凄い…続きが気になる。こういうお話大好きなんです。神作ありがとうございます (2019年5月13日 8時) (
レス) id: f52dfbbd1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：貴咲 | 作成日時：2019年5月12日 18時
