今宵もギムレットを【 ymin 】 (ページ4)

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颯爽と走る馬車はページ4

Ryosuke.Y side

ドサッ

痛々しい音を立てて地に降りた俺を見て
郵便屋さんはニヤリと笑った

裕「さあ、行こうか」

涼「え、どこに？」

裕「秘密」

そう言って郵便屋さんが指をパチンと鳴らすと
目の前に現れた馬車

ほんとにあるんだ、これ

絵本の中だけのものかと思ってた

郵便屋さんは少しも躊躇せずに
その馬車の御者台に登ると

早く乗れとでも言いたげな顔で俺を見た

恐る恐る客車に足を踏み入れると
其の瞬間、猛スピードで馬車が走り出した

涼「うわああああっ！」

裕「あははははは、すぐつくから！」

あまりのスピードに絶叫している俺と
笑っているスピードを上げた本人

このスピードならそりゃあすぐ着くだろう

そんなことを考えてたら
すぐに目的地に着いた

馬車に乗った時間、ものの3分

どれだけスピード出したんだ

馬も息切れしていることだろう
と思っていたら全くだった

あのスピードで走っておいてよく普通でいられるな

裕「その馬、疲れとかないから」

涼「...どういうこと、ですか」

裕「まんまだよ。...いずれ理由はわかる」

意味がわからなかったけど
深く知る必要は無いと思ってそれ以上聞かなかった

裕「あ、俺のことは裕翔って呼んで？ね、山田くん」

この微妙な空気を立て直すべく
なにか話をしようと口を開こうとしたら
普通に先を越された

裕翔、さん

一体彼は何者なのか

いや、まずここは何処なんだろう

涼「え、」

さっきまで背後にあった馬車は
いつの間にか消えていた

謎だらけだ、ここは

辺りを見回すと
やっぱり別世界だった

俺が裕翔さんと会ったのは確か8時すぎ

大ちゃんを待たせてしまったこと
帰ったらちゃんと謝ろうと思う

涼「いや、まず帰れるか...だよな」

はあ、

1つ大きなため息をつくと
大きな異変に気づいた

涼「え、いない...」

ふと隣を見ると
さっきまで隣にいた裕翔さんの姿は無かった

裕翔さんの変わりとでもいえばいいのか
手紙が落ちていた

しっかり封筒に入っていて
それでも朝の招待状とは違って封はされていなかった

開くとそこにはカードが入っていた

『ドレスルームにてお待ちしております』

差出人は見慣れない名前だった

『From K.I』

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