鶴の一声かと思えば ページ16
Kota.Y side
大「ねえ、君はどこの家の人？」
きっと幼い彼の好奇心からだったのだろう
それでもそんな彼と
そんなに年は変わらないであろう男の子が
発したのは思いもよらない言葉だった
慧「‥‥俺を助けてくれないか」
宏「え、」
戸惑った
まだ10歳にもなっていない俺たち
のような子供に向かって
とてつもなく真剣な眼差しで
それもその目に涙まで溜めて
彼はさっきより少し大きな声で言った
慧「俺は‥‥‥きっと殺される」
子供にしたら聞きなれない言葉を耳にした弟は
目の前の彼のことが気になって仕方ないようで
大「‥‥一体、何をしたの？」
宏「ちょ、大貴」
慧「‥‥‥話そう。着いてきて」
目の前の彼は暫く考えて言った
しかし着いてきてと言われたものの
彼は動こうとしない
俺たちの後ろをじっと見つめたままで
いや、正しくは動けなかったのだ
慧「‥‥‥パパ、」
宏「へ？」
振り返ると豪華な装飾が施された
洋服を纏った隣国の国王がいた
小さかった俺にもこれが
只事ではないことが分かった
…
…
…
…
…
…
…
それからの出来事は壮絶だった
楽しい舞踏会が行われる予定だったホールは
人がいるというのに静まり返っていた
まず男の子は国王を見て逃げてホールに入った
これは後から聞いたのだけれど
男の子____慧 は城内の禁断の部屋に入って
一家に代々伝わる魔術に侵されてしまったらしい
その魔術というものは
魔術を持つ者に直に触れられると
その触れられたモノの時を止めてしまう
というものだった
それからのホールは物凄く悲鳴が飛び交っていた
客人は外に出され
慧と王家の人間と俺と大貴だけが取り残された
そこで慧は王家の人間に次々と触れていった
それもずっと付けていた手袋をのけて
まだ力をコントロールできなかった慧の術で
王族の人間はその人間の時が止まったと同時に
次々と倒れていった
大貴がその人々を呆然と眺めていると
慧が誤って一瞬大貴の手のひらに触れた
その日から大貴は慧の管理下の場所でないと
うまく時をコントロールできなくなり
結果的に大貴は隣国に養子として引き取られた
.
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misaki - 凄い…続きが気になる。こういうお話大好きなんです。神作ありがとうございます (2019年5月13日 8時) (
レス) id: f52dfbbd1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：貴咲 | 作成日時：2019年5月12日 18時
